文春オンライン

「ひるまず客と会え!」「ノーロジックでナゾの40pt太文字パワポは客に刺さる」ヤバすぎる修羅場を潜り抜けたコンサルたちの“最強トラブル解決法”

メン獄×樋口恭介 特別対談

source : ライフスタイル出版

genre : ライフ, 社会, 働き方

note

メン獄 あいつ何と戦っているんだろうなって、周りに理解されないですからね。最初僕は「会議室取れ」って言われても訳がわからなかった。

樋口 目的に応じた適正な場所の塩梅がわからない(笑)。プロジェクター完備の無駄にでっかい会議室取っちゃったりして。

メン獄 わかります。ライブでもやるの?みたいな大部屋おさえて偉い人に怒られたり(笑)。これはコンサル会社に特有の文化だけど、社内の会議室借りるのにもお金がかかるでしょう。プロジェクトの予算からきっちり引かれるから、無駄をやらかすとこの金で飲みにいけたじゃん!みたいなことになる。

ADVERTISEMENT

お客さんの前で一歩も引かないメン獄

樋口 日程調整の順番とかも最初わからないですよね。偉い人のスケジュールこっちで押さえていいかわからないし、たとえ偉い人の予定とれてても「予定未定」の末端のアナリストの返事を待ち続けてしまったり……。

メン獄 「いい感じに調整してこいよ」ってのが、新人には一番きつい。いい感じに調整するには、誰々と誰々は仲悪いみたいなバックグラウンドとか、前提として考えなきゃいけない情報がいっぱいあるから。……そういうの誰も説明してくれないから、苦しかったなぁ。

樋口 新人時代といえば、忘れがたいのが、僕、お客さんに日次定例で毎日詰められてたことがあったんですよ。そんなある時、お客さんの偉い人から「樋口さんって、ぶっちゃけ何もわかってないですよね。誰かわかる奴ちゃんと連れてきてくださいよ!」って言われて、これはやべえことになったぞと思って、上司にエスカレーション(報告)したんですよ。そしたら上司が「わかるやつは全員忙しいから出せねえんだよな。てか現場にメンがいるじゃん。あいつ連れてけよ」って言われたんですよ。

メン獄 俺も全然わかってないのに(笑)。

撮影 細田忠/文藝春秋

樋口 ね(笑)。で、仕方ないのでメンさん連れてきて、「ここにわかる人を連れてきました。あとは、全部彼に聞いてください」って言ったら、メンさんはお客さんの前で一歩も引かず、「なんすか? 俺らが悪いっていうんですか?」みたいな態度で(笑)。

メン獄 舐められたら、負けだから。

樋口 「おっしゃることはわかりましたけど、それってエビデンスあるんでしたっけ? ちょっと、一回確認してもらっていいですか?」とか切り返してて、謎に頼もしくて、かなりおもしろかったですね。

メン獄 まあ大体は俺らが悪いんだけどね。ただ、その時のボスがものすごく怖い人で、よくわからないまま持ち帰ると怒られるから、どこが俺たちが悪いのかを納得できるまで確かめたかったんです。

とことん追い詰められると、最後はもう魂の戦いになる

樋口 当時のメンさんは、不利な状況下でも、上位ドキュメントでこうも解釈できるから、ギリギリ僕らはこうやりたい、みたいなコミュニケーションをよくとってましたよね。