「コンサルタントのK氏は、当社にとって疫病神でした。彼のせいで、私の会社は無茶苦茶になりました……。でも社長は、そんな彼のことを今も尊敬し、感謝しています」 

悪質コンサルの食い物になる企業の特徴とはいったい? ©getty

 2000年代以降のIT化や最近のコロナ対策の公的支援などで、コンサルタントを起用して経営改革に取り組む企業が増えています。以前よりもコンサルタントは、企業にとって身近な存在になりました。

 しかし、コンサルタントを起用したものの、期待した成果を上げられなかったというケースも多々あります。今回は、ある機械メーカーの騒動を紹介し、コンサルタントを起用する際の注意点を考えてみましょう(記事中の事例は個人のプライバシーに配慮し、一部表現を改めています)。

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社長がコンサルタントを連れてきた

「4年前、社長がコンサルタントのK氏をわが社に連れてきました。普段は物静かな社長が『Kさんと心中するつもりで改革に取り組みたい』と口にしたのには、唖然としました」

 こう述懐するのは、機械メーカー・A製作所の経営企画部に所属するS部長です(以下、コメントはすべてS部長のもの)。ある経済団体が主催するセミナーに参加した社長が、講師だったK氏の日本の製造業の将来を熱く語る姿に感動し、終了後の懇親会で意気投合し、コンサルティングを依頼する運びとなりました。

 A製作所は、戦前に創業し、舶用エンジンや建設機械などを製造しています。国内市場の縮小や新興国の低価格メーカーとの競合で、近年は業績が低迷し、抜本的な経営改革を迫られていました。

 形ばかりの取締役会でK氏の会社の起用が承認され、経営改革プロジェクトが始まりました。プロジェクトチームは総勢8名。K氏の会社から3名、A製作所から5名で、S部長がプロジェクトリーダーを任せられました。

「今から思うと、先方の体制をしっかり確認しておくべきでした。K氏は社長が出席する会合には必ず出ますが、それ以外は顔を見せません。残りの2人は、金融機関出身で30歳そこそこの新米コンサルタントと、新卒2年目のド素人。こちらが経営のイロハを教えてあげる場面が多く、授業料を払って欲しいくらいでした」