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「ひるまず客と会え!」「ノーロジックでナゾの40pt太文字パワポは客に刺さる」ヤバすぎる修羅場を潜り抜けたコンサルたちの“最強トラブル解決法”

メン獄×樋口恭介 特別対談

source : ライフスタイル出版

genre : ライフ, 社会, 働き方

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 ちょっと時系列が変わってつい先日、僕がかかえている案件で重大なトラブルが起きて、かなり参ってて、「マジで四面楚歌になった時どうしてました?」って深夜にメンさんに相談したら、「まあでも、俺を裁くことができるのは神だけだから」とか言い始めて…(笑)。

メン獄 でも、最後はそうなるでしょう? 別に会社が評価するわけでもなく、極限下で正しい選択をしたかどうか、もはや誰もわからないモードになってくると、HIP-HOPが心に染みる瞬間がやってくるわけ。抑圧された人間の魂が共鳴する。とことん追い詰められると、最後はもう魂の戦いになってくる(笑)。

お客さんがキレてる時は間合いを詰めまくる

樋口 たしかに。あまりにも修羅場の時って、もう覚悟を決めて全速力で一気に現場に飛び込んでいくしかない。つまり、“爆心地にいくのが大事”ってことですよね。周辺にいると爆風を食らってしまうけど、爆心地の真っ只中に入っていくと実は無風なんですよね。いかにもコンサルですって感じで、外で一歩引いて仮説思考とかロジカルシンキングとかしてても、通用しない時は全く通用しないし、むしろ状況を悪化させることもある。僕は部下に対しても、「トラブルに対して頭で考えたロジックでなんとかしようとしているうちは、まだズタボロにされる可能性が高い。資料作ってる暇があったら、怯えずさっさとお客さんと話しに行け! ゼロポイントに飛び込め!」とか言ってます(笑)。

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撮影 細田忠/文藝春秋

メン獄 すごくわかります。爆弾の落下地点の真下はギリ無風だから。覚悟を決めて飛び込んでしまえば逆に死神はこない。お客さんがキレてるなと思ったら、間合いを詰めまくるといい。朝イチでお客さんより先に先方の会社に行っておくとか。

樋口 相手が身構える隙すら与えない感じで、「本日はありがとうございます!」「大変申し訳ございませんでした!」「次からちゃんとこうします!」って急に懐に飛び込んでいく。向こうも迫力出してきてるんだから、こっちも迫力を出さないといけない。

コンサルティングで一番大事なもの

メン獄 そうそう。中途半端な距離感で下手な準備をしていると、相手が刀を抜き始めるから、長文メールとか絶対駄目。そういう時って、ノーロジックで謎の40ポイントくらいの大文字で短いパワポを出したほうがむしろ刺さりますよね。

樋口 そうですね。デジタルの時代ですが、むしろデジタルの時代だからこそ、メールするより電話したほうがいいし、電話するより直接会いに行ったほうがいいですね。アナログな手法には迫力と臨場感が宿るから、ここぞという時にはアナログパワーを使ったほうがいい。そう言えば、新人時代に出会って、今でもすごく尊敬しているSさんっていう先輩がいるんですが、彼は会いたいお客さんがいた時、先方の会社に朝6時から出張って、相手が出社するのを待って、「今日、1時間だけください」「10分でもいいです」と言って無視されても、また夜10時くらいに相手が出てくる時を見計らって、「お願いします」って頭を下げてたらしいです。