「性加害者が少年たちをデビューさせアイドル帝国を作っていた」
今回あらたな衝撃のポイントとなったのは、これまで把握されていたジャニー氏の性加害の“幅”を大きく超えていたところだろう。たしかに古くは1960年代の雑誌媒体でのジャニー氏に関する疑惑記事、そして1999年に大きくキャンペーンを張った「週刊文春」による一連のセクハラ報道などがこれまであった。
「だが、それらはいわゆるジュニアと呼ばれる10代半ば以降の少年たちに対する『社長・ジャニー喜多川の蛮行』が主だった。しかし今回の告発の内容は、ジャニーズ事務所設立前。そして服部吉次氏らのように8歳の頃から被害にあっていたとなると、さらに深刻度が増し、胸をえぐられる感があります。“芸術家の男色”などという言葉にはもちろん値しないし、もはやペドフィリアといえるのではないかと。
アイドル帝国の事務所社長が性加害者だったというより、性加害者が少年たちを育てデビューさせアイドル帝国を作っていたことになる」(前出・クリエイター)
ジャニー氏のその人柄や功績、才能を褒める言葉は多々ある。だが、2019年に亡くなって以降あらためて世間につまびらかになったその「裏の顔」は、さらに今後の芸能界にも波紋を呼んでいる。
朝ドラ「ブキウギ」に草彅剛出演の“因縁”
その最たるものは、今年の秋からスタートするNHK連続テレビ小説(通称・朝ドラ)「ブギウギ」のキャスティングだ。
10月スタート予定のこのドラマの主人公のモデルは笠置シヅ子。戦中に松竹歌劇団に参加し、敗戦後は復興の日本を「東京ブギウギ」や「買い物ブギー」など、明るい曲調の歌と踊りで勇気づけた「ブギーの女王」だ。これら笠置のヒット曲の数々は服部良一氏の作である。
「笠置を演じるのは、俳優・趣里。踊りの実力には定評があるし、水谷豊と伊藤蘭の娘であることも芸能ニュースを盛り上げます。
そして笠置の人生を描くのであれば欠かせないのは、名曲の生みの親であり彼女をスターダムにのしあげた服部良一氏です。服部氏次男の告発を掲載した『日刊ゲンダイ』の発売と同日に発表されたのは、服部氏をモデルにした『羽鳥善一』のキャスティングでした」(芸能デスク)
「羽鳥善一」を演じるのが元ジャニーズ、元SMAPの草彅剛だったのだ。
「服部良一氏といえば、ほかにも高峰秀子の歌った『銀座カンカン娘』や、藤山一郎の『青い山脈』などの作曲家でもあり、国民栄誉賞まで受賞した昭和の日本の歌謡界を作り上げてきた人物。その大作曲家を演じるのは草彅にとって非常に名誉なことで、ものすごくうれしかったはずです」(同前)