タイマーで最適な仮眠時間を見つける場合も、タイマーをかけるだけではなく、頭の中でも言語化してみましょう。
これら4つのポイントをおさえて、眠いか眠くないかに関わらず、脳の働きを客観的に管理してみましょう。
計画仮眠は、実行する時間帯をそろえると、より有効に眠気を取り去ることができます。例えば、12時から13時の間の30分以内、というように1時間程度の幅の中で実行すると決めたら、平日は毎日、できれば休日も同じ時間帯で実施していると、睡眠と覚醒の振幅を強調することができ、計画仮眠前後の脳の覚醒を高めることができます。
生理現象を操って生産性を上げる
計画仮眠の効果を検証したユニークな実験があります。
実験では、2つのグループに分かれて、画面に表示されるシグナルに素早く反応するというテストを1日4回実施しています。テストの時間は、10時、12時、14時、16時です。
脳は、目覚めている時間が長いほど、反応速度が遅くなるのですが、1つのグループでは、その通りの結果になり、10時から16時にかけて徐々に反応速度が遅くなりました。
そこで、もう1つのグループには、12時から14時の間に30分間の仮眠をとらせました。その結果、12時までは反応速度が遅くなりましたが、それ以降は遅くなることがありませんでした。つまり、仮眠によって、脳の機能低下を防ぐことができたということです。
これだけでは、面白くないので、この実験では仮眠をしないグループに、報酬を設定しました。早く反応できたらご褒美をもらえる、という設定です。こんな設定になったら、とてもやる気が出そうですよね。
その結果はどうだったかというと、報酬が設定されていなかったときと変わりなく、反応速度は時間とともに低下しました。
心理的な対策より、生理的な対策が有効。ここでは、睡眠が生理現象であるということを理解していただけると思います。
作業療法士
ユークロニア代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。1978年、青森県生まれ。国際医療福祉大学卒業後、国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事。2012年にユークロニアを設立。東京都千代田区のベスリクリニックで外来を担当しながら、ビジネスパーソンのメンタルケアを専門に、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。著書に『あなたの人生を変える睡眠の法則』(自由国民社)、『すぐやる!』(文響社)などがある。