「自分一人でできることは何かなと考えて、朗読だったら、皆に伝えることができる。それで何を読もうとなった時に、日本人のルーツは『古事記』にある。日本文学のキモだと思いました」
浅野温子さんがライフワークとしている『よみ語り』が15周年を迎えた。古事記や民話を、身振り手振りを交えて朗読。アボリジニハープや三味線などの民族楽器の生演奏をバックに、浅野さんは子供から男まで声色を変える。想像力を掻き立てる、非常に個性的な舞台だ。
「当初は神社の境内で始めたのですが、700人が雨の中、合羽姿で2時間見てくれたときは、さすがにホールでもやらなきゃと考えを改めました」
2月には、古代歴史文化賞の記念シンポジウムにて『よみ語り』が行われた。受賞者は古代の稲作などについて研究する熊本大学教授の小畑弘己氏。この日、浅野さんが選んだ演目は古事記の神武天皇たちが稲作を広めた伝説に材をとった『日御子(ひのみこ) イワレビコとイツセ、東を目指す』だった。
「日本人の他者を思いやる気持ちを大切にしたい。『ヤマタノオロチ』や『因幡の白うさぎ』などを知らない子供も増えてきました。エチケットやマニュアルではない、根本の心を伝えていきたいと思っています」
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浅野温子よみ語り
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