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 こうした知識を教養のレベルに引き上げるには、「その戦争が世の中をどう変えたのか」「戦争の教訓はどう生かされたのか」と、掘り下げていく必要があります。

教養は知識を深掘りした先にある

 ○○戦争が起きたのは××年という知識から踏み込んで、「なぜ戦争が起きたのか」「日本はこの先も戦争をしないと言えるのか」と考えを深めてゆく。アメリカの基地が日本にあるのはなぜだろう? 自衛隊の役割って何? ウクライナの紛争は自分の暮らしとは無関係なのかな? テレビで観た北方領土問題ってなんだ? 知識がつながり、するとまた次々に知りたいことが出てきます。

 戦争はいけないと誰もが言うけれど、戦争はなくならない。なぜなんだろう。自分なりに突き詰めていく中で、人間の愚かさ・未熟さに気づくこともあるでしょう。そうした発見は、「国を守るために戦え!」といったスローガンを反射的に受け入れる前に、立ち止まって考える人格を作っていきます。

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 歴史を掘り下げると、「今」は「過去」のできごとがつながって成り立っているとわかります。そして、自分もまた「今」をよりよい「未来」につなげるための社会の一員だと理解する。それこそが教養だと思うのです。

教養を身につけた子どもは自己肯定感が高い

 どんなに美しい言葉で飾っても、戦争は人と人との殺し合いです。わが子を“人殺し”にしないために親ができるのは、子どもにものごとを深く考える習慣をつけてやることです。戦争をしない国であり続けるために自分には何ができるのか――そんな風に考えられる教養を、ぜひ身につけさせてほしい。戦争に関する報道が多くなる夏休みは、親子でそういう話をするいい機会かもしれません。

 教養は、人生で困難にぶつかった時、助けてくれる人や情報にたどりつく道しるべになります。教養がある人はバランスのとれた行動をするので社会的に信用され、人とのネットワークが広がります。周囲から好意的に見られることで、自己肯定感も高まります。激動の時代に生きる子どもたちにとって、人生のさまざまな局面で強い武器になってくれるのが教養なのです。