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 ただし、ドアの開閉による瞬間的な温度低下も顕著だった。ここで取り入れられているのは「助手席の窓だけを開け、運転席のドアを5回開閉する」というアナログな方法だが、47.5℃の地点までは「エアコン+走行」と同等のスピードで至っている。エアコンを使わず8℃近く温度を下げられるのなら、これを実践しない手はない。

 つまりもっとも効率的な車内の冷やし方は、車の中に入る前にドアを何度か開閉して篭もった熱を逃がし、それからエアコンを最低温度に設定してすぐに走り出す、ということになるだろう。

 この際、走行開始時点で窓を全開にし、エアコンは外気導入に設定してしばらく走行したあと、車内の熱が逃れしだい窓を閉めてエアコンを内気循環に切り替える、という流れがJAFによって推奨されている。

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 米国の非営利消費者組織が運営するコンシューマー・レポートにおいても、これと似た手順が紹介されている。こちらは「窓を全開にして10秒から20秒走行」「エアコンの設定温度を最低に」「冷たい風が循環しはじめたら前席の窓を閉めるが、後席側は空気が循環しにくいのでさらに10秒から20秒開けておく」という流れである。

 なお、エアコンの内気循環は冷却効率に優れるが、車内の換気ができないので、長時間そのままにしておくとCO2濃度が上昇し、眠気や頭痛を引き起こすことがある。ある程度車内が冷えたら、外気導入に切り替えるとよい。

車を離れる前に、今一度車内の確認を

 繰り返しになるが、どのような方法をとるにせよ、車を離れる際に子どもやペットを車内に置き去りにするのは厳禁である。窓を開けてもサンシェードをしても、車内が危険な温度になることは避けられない。

 さらに、夏場はもちろん、比較的気候の穏やかな日であっても、車内温度は想像以上に上昇する。JAFが最高気温23℃の日に実施したテストでは、車内温度が最高で48.7℃に達している。たとえ数分であろうが、あるいは曇りや雨の日であろうが、車内放置は御法度と肝に銘じたい。

 生き物のほかにも、ライターやアルコール消毒液などは、高温により容器が破損する可能性もあるので、車内に取り残さないようにしよう。その他、スプレー缶や飲料缶、ペットボトル、リチウムイオンバッテリーなど、急激な温度変化の影響を受けやすいものがないか、車を離れる際には必ずチェックするようにしたい。

 真夏の車内は、わずかな時間のうちに「命にかかわる温度」へと達する。急激な温度上昇が生き物や物質に及ぼす影響は、しばしば我々の想像を超えてくる。「まぁ大丈夫だろう」と思わずに、しっかりと多角的に対策を講じておくことが、夏場のお出かけには欠かせない。