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 日なたに車を止める際のポピュラーな対策としては、フロントウインドウ内側に設置するサンシェードが挙げられる。実際の効果について、JAFはサンシェードをつけた車両と無対策の車両、少し窓を開けた車両の温度変化を比較する実験をおこなっている。

 この実験では残念なことに、サンシェードの有無によって生じる車内温度の違いはおおむね2℃程度であった。対策なしの車の車内温度が最高で52℃、平均して47℃であったのに対し、サンシェードありの車は最高50℃、平均45℃と、顕著な差は生じなかったのだ。

 しかし、サンシェードがまったく効果を発揮しなかったわけではない。とりわけダッシュボードまわりの温度上昇を防ぐ効果は大きく、無対策の場合に比べて20℃以上も低い数値を記録した。ハンドルやシフトノブなどの温度上昇を抑え、ちょっとした接触によるヤケドのリスクを予防するには有効だろう。

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もっとも効果が高かったのは……

 この実験において、もっとも温度上昇を抑えられたのは「窓を開けた車両」であった。対策なしの場合に比べ、最高温度で7℃、平均温度で5℃の違いが生じている。窓を開ける幅は3cm程度であったが、それでも車内の熱を逃がす効果が確認されたわけである。

 一方で、窓を開けていても、ダッシュボードまわりの温度変化は無対策の場合と同様だった。この点では、窓開けとサンシェードの組み合わせも有効といえそうだ。

 ただし問題は、窓を開けた隙間がわずかであっても、防犯上は大きなリスクになるという点である。ドアバイザーがあれば手や道具を入れることは難しくなるが、それでも車上荒らしなどに遭う危険性は高まるので、しばらく車を離れる際には推奨しにくい方法といえる。

 さらに、先のスタンフォード大学の実験に関連する資料では、駐車中に窓を開けることでしばらくは温度上昇を防ぐ効果があるものの、駐車後50分以降は無対策の場合とほぼ同じ温度になってしまうというデータも残されている。こうした結果は実験条件にも左右されるだろうが、効果の面でも防犯の面でも、長く車を離れる際の「窓開け」は有効な対策とはいいがたい。

いち早く車内を冷やすには

 つまるところ、炎天下に駐車する限り、決定的に温度上昇を防げる方法はないといえる。そうなると、「乗車する際にどれだけ早く涼しくできるか」が問題になってくる。これについても、JAFがさまざまな方法を比較した実験データを公開しているので、参照してみよう。

©AFLO

 実験で比較されている方法は、「ドアの開閉」「冷却スプレーの散布」「停車したままエアコンON(外気導入および内気循環)」「走行しながらエアコンON」の5つであり、いずれも車内温度55℃の状態から開始。やはり走行風の効果が得られる「エアコン+走行」がもっとも効果的で、開始から2分たたずに車内温度は30℃を下回った。