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広島カープの同姓選手を見るとドンジャラがやりたくなる理由

文春野球コラム オープン戦2018

2018/03/10

「高橋がキャンプ離脱」への困惑

 話は変わるが2月17日、カープ高橋が左橈側手根屈筋筋損傷でキャンプ離脱……というニュースを聞いて、これまた頭が混乱した。「期待の高卒2年目左腕高橋昂也? なに違う? 髙橋大樹? 右投げだしバッティングに影響なければ大丈夫か? それも違う? 高橋建……は阪神のコーチになっているし高橋英樹でもないし、えっ高卒3年目左腕高橋樹也? それは大変!」と頭の中をさまざまな高橋が駆け巡ったのである。まだ高橋慶彦が駆け巡らなかっただけましであった。このようにカープには中村姓だけでなく、現在高橋姓も3人が在籍している。過去を遡れば、カープ創設時から現在に至るまでの全選手の中で最も多い名字が高橋であり、計10名が在籍した(過去在籍の選手は一軍出場選手のみ。『広島カープ全史1950-2016』《ベースボール・マガジン社》を参考にした)。

カープの平均的高橋顔 ©オギリマサホ

 こう述べるとカープばかりに同姓選手が多く集まっているかのようだが、12球団の現在の同姓事情を見るとまた違った側面が見えてくる。選手だけに限って言えば、圧倒的に同姓が少ないのが楽天(渡邊佑樹/渡辺直人)とヤクルト(山田哲人/山田大樹)の1組ずつ。

 逆に同姓選手が多く存在するのが巨人とオリックスだ。巨人は球界の吉川姓を独占し(3名)、カープ田中広輔の弟・田中俊太と育成の田中優大を新たに迎えて総勢4名の田中王国を形成しつつある。オリックスは吉田姓が4名、山崎姓と鈴木姓(K-鈴木含む)が3名、佐藤姓が2名と同姓選手の宝庫である。これが学校のクラスだったら先生は確実に頭を抱えるレベルである。

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 しかしここに来て面白い動きを見せているのが中日である。2017年シーズンまでは松井(佑介/雅人)、木下(拓哉/優介)、浜田(濱田達郎/浜田智博)と3組の同姓選手しか在籍していなかった中日だが、ドラフトで鈴木博志、石川翔、伊藤康祐、山本拓実と既に自球団にいる名字の選手ばかりを指名し、更にはFAで日本ハムから大野奨太を獲得したことによりペアを8組も作ってしまったのだ。中日の目的は何なのか。七対子(麻雀で同じ牌の2枚組を7組集めること)であがりを目指しているのか。でも1組多い。

 そのような視点から改めてカープの同姓選手の組み合わせを見てみよう。カープは中村姓と高橋姓の3名という数を維持しつつ、新たに育成の藤井黎來投手を獲得して、藤井皓哉投手と合わせて藤井姓を2名とした。この3・3・2の組み合わせに意味はあるのだろうか。じっと見ていると、妙に懐かしさとワクワク感が湧き上がってくる。そう、これは麻雀というより3枚1組を3セット作ってあがりを目指す子供用ゲーム・ドンジャラのリーチ状態だ。果たしてここに今後新たな藤井選手がやってくるのか、或いは新たな同姓選手の組み合わせが生まれるのかはわからないが、カープの同姓選手は全て若手の有望株。今シーズンの3人の中村、3人の高橋、2人の藤井の活躍を期待したいところである。

※原稿中「2017年は楽天には同姓選手が1組もいなかった」旨の記述がありましたが、誤りでしたので該当部分を削除いたしました。(3月10日19:30)

同姓の組み合わせ3・3・2のイメージ ©オギリマサホ

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