2月21日に沖縄で行われたカープ対ロッテの練習試合。4回表、中村の打球が中村の右胸を直撃し、中村が降板するというアクシデントが起こった……というニュースを聞いて、少々頭が混乱した。この出来事を正確に書けば「(ロッテの5番)中村(奨吾)の打球が(カープの二番手投手)中村(祐太)の右胸を直撃し、中村(祐太)が降板」したのである。
複雑なカープの中村姓問題
2018年3月現在、NPBに登録されている選手数は903名(育成選手含む)。これだけの人数がいれば、当然同姓の選手も存在する。手元にある『プロ野球選手名鑑2018』(ニッポン放送発行)の全選手索引を調べてみると、中村姓の選手は10名。田中姓(13名)、高橋姓(11名・いわゆる「ハシゴ高」の異体字含む)に次ぐ一大勢力である。
この中村姓10名のうち実に3名がカープの選手なのである。「おーい中村君」と呼べば、上記の中村祐太、新入団の中村奨成、8年目左腕の中村恭平の3人が振り返る。昨年10月、中村奨成がドラフトで指名を受けた段階では中村亘佑捕手も在籍していたため「何と中村が4人に!」という驚きが広がったが、その4日後に中村亘佑は戦力外となり、結果的に中村姓の人数は3人で維持された。
その翌月、仮契約を結んだ中村奨成の背番号が22番に決まった時に、またも驚きが広がった。なぜなら22番は2017年シーズンまで中村恭平が付けていた背番号だからだ。中村奨成は22番について「憧れの小林誠司(巨人)と同じ背番号」であると喜んだ。確かに水沼四郎も付けていた捕手番号ではあるが、カープでは1987年に足立亘が付けて以降、22番は主に投手の背番号となっていたはずだ。その22番をなぜ中村奨成に付けたのか。真相は不明であるが、いずれにしても中村恭平ファンは昨シーズンまでのレプリカユニフォームを着ているだけで中村奨成ファンと勘違いされることとなった。
こうなってくると、今シーズン新発売された中村奨成のレプリカユニフォームも「まさかそのユニフォーム、去年の中村恭平のものをそのまま売っているのでは……」と勘ぐりたくもなる。せめて「S.NAKAMURA」のように背中の名前表記に頭文字を付けてくれていればそのような疑念は晴れるが、この頭文字表記を導入しているユニフォームは西武ぐらいだろうか。1980年代、佐藤文男(阪神)や田中幸雄(日本ハム)といった同姓同名の選手が同じ球団に在籍するようになって、名前の頭文字表記が時に虚しい試みに終わることを各球団は悟ったのかもしれない。