これらの製品のほとんどは各国でトップシェアとなっている。日本や台湾、フィリピン、ベトナム、インドネシア、タイなどASEAN各国で軒並み1位。さらにユーラシア大陸を西に進めばインドとトルコで1位、サウジアラビアでは3位になっている。
構造的にはシンプルなコンセント、いったいどこにちがいが…?
言い方は悪いが、コンセントや壁スイッチ自体は構造的に簡単で、ただ作るだけなら「町工場レベル」でも作れてしまう。ハイブリッド自動車を作るほどの技術は必要ない。にもかかわらず、各国の国内メーカーが対抗できないのは、その精度の高さゆえだ。
たとえばコンセントの刃を受ける金属部品やスイッチの電気的な接点。10年以上もの間、一日に何回もON/OFFを繰り返しても故障や火災を起こさないためには、金属の強度や材質、カバーする樹脂に至るまで工夫が求められる。これは当たり前のことに見えて非常に難しい。
実のところ、世界的に見て日本の電材は非常に安全性が高い。関東電気保安協会が2020年に発表した「海外における電気需要設備の保安制度」によれば「100万人あたりの住宅・非住宅建物の年間電気火災件数」は英国は450件超、オーストラリア、ドイツ、フランスが350~400件という。これに対し日本は20件程度と桁ちがいの安全性を誇っている。
さらに消防庁の調べでは、世界各都市の火災原因のトップ3にはおおむね「電気」「漏電」が入っている。しかし東京は「放火」「たばこ」「ガステーブル等」と、明らかに世界の傾向とちがう。
このちがいを生んでいるのが、精度に加えて様々な安全装置だ。コンセントやスイッチの中が異常加熱したとしても、難燃性の素材を使っているので火災を食い止められる。また電流の異常な流れを検出して瞬時にブレーカーを落とし火災を防止する2重構造になっている(ちなみに、このブレーカーもパナソニックが日本のトップシェアだ)。