普段何気なく使っているコンセントや壁スイッチ。もちろんこれらも企業が作っているが、自宅のコンセントのメーカーを知る人は少ない。
でも多分、あなたの家、そしておそらく会社のコンセントもパナソニック製だ。なぜなら同社は国内シェア80%の圧倒的1位だから。ちなみに、壁スイッチのカバーを外して裏側を見ると確認できる。この作業には電気工事士の資格はいらない。
表面にメーカー名の記載されていない自宅のコンセントのメーカーを知らないのは当然のこと。しかし、じつは同社のコンセントは世界60カ国以上で採用・愛用され、電材(電気設備資材の略。電気を使用するための配線に用いられる材料のこと)のメーカーとしては世界第2位のシェアとなっている。
日本だけでなくASEAN各国でトップシェアを握る秘密とは
一般的に、パナソニックと言えば白物家電かAV機器のメーカーと思われがちだ。しかし、パナソニック株式会社のCEO・品田正弘氏は、次のようにその優先度の高さを説明する。
「パナソニックの中でも、全社をけん引する『成長リーダー』として、ビル空調を含めた空気清浄器やエアコンといった『空質空調設備』と『海外電材』を最重要テーマとしています」
品田氏によれば、国内事業の中でも電材は白物家電と並ぶ中心事業なのだという。あまり知られていないことだが、創業100年以上になるパナソニックの始まりは今でいうコンセントの電灯ソケットと電化製品をつなぐアタッチメントプラグ。家電やパソコンばかりが注目されるが、100年以上事業として続く最も長い歴史を誇る商品が「電材」なのだ。
実際に三重県にある津工場では、世界に向けたコンセントのサンプルが展示されており、四角いものや横型のモノ、お国柄に合わせて色や押し心地を変えた製品があふれている。国によって住宅建材が木造、コンクリート、レンガといろいろあるが、安全性はそのお国柄に合わせて設計しているという。