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「みんなが東大コースで勉強する隣でシャブを吸ってた」予備校のトイレで覚醒剤を初体験…東大を目指し上京した浪人生が、シャブ中になるまで

諸橋仁智氏インタビュー#1

2023/08/26

genre : ライフ, 社会

note

エッチ、掃除、博打にはすごく強い

諸橋 勉強に集中したいからって買ってく人はいました。予備校でやってた人たちは、それを言い訳にしてましたから。でも、僕は勉強に使おうとは思わなかった。そうやって使って勉強できている人を見たことがなくて、「効果ないな」って。

 集中力は出ることは出るんです。エロ本なんて一晩中ずーっと見てられるんですよ。隅から隅まで、通販の広告まで漏れなく、一文字一文字、1冊まるごと。掃除なんか相当に汚くしていた部屋でもガーッと綺麗にしちゃうし、博打も寝ないで頑張ってしまう。エッチ、掃除、博打にはすごく強いけど、勉強だけはダメ。

 

――浪人兼売人として過ごしながら、再びセンター試験を受けたんですよね。

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諸橋 僕は受験にガッと行くときは、シャブを一回全部バッと切ろうと思ってました。だから、年末年始はシャブをやってないんですよ。でも、まったく勉強してなかったのでダメでしたね。

 それでも東大に行きたかったので、母親に頼んで2浪させてもらって。1浪目に勉強してなかったので、ここからでも勉強すればまだ間に合うと。2浪ぐらいまでだったら、まだ許容範囲みたいな感じで「クスリを切って、東大を目指して頑張ろう」と。

 だけど、勉強はしなかったです。シャブがやめられなくて。しかも、予備校の申し込みもしてないんですよ。母からもらった予備校の代金も使っちゃって。母親には「図書館で勉強する」なんて話してましたけどね。

不貞腐れちゃって「もういいや」という状態で出会ったのは…

――2浪して成蹊大学に進みますが、東大を目指していた身としては納得できましたか。

諸橋 その頃にはもう不貞腐れちゃっていて、「もういいや」みたいな。勉強もイヤになったし、シャブはやめられないし。あと、90年代なかばの当時は就職氷河期で「大学を出ても就職先はないよ」みたいになっていて、学歴と違うことで挽回しようみたいな。東大に行けば就職先はあったでしょうけど、学生起業がもてはやされていたので、そっちを目指そうかなとかって考えたり。

 まぁ、そうならずにヤクザになるきっかけとなったアニキと出会ったり、アパートで火事を起こしたりするんですけどね。(#2に続く)

 

写真=石川啓次/文藝春秋

「みんなが東大コースで勉強する隣でシャブを吸ってた」予備校のトイレで覚醒剤を初体験…東大を目指し上京した浪人生が、シャブ中になるまで

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