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0時を超えた雀荘には売人がいた

――その後、浪人時代に入り浸っていた雀荘で売人と知り合ったそうですが、雀荘が覚醒剤との接点の場となることは珍しくないのでしょうか。

諸橋 今はないですが、昔はそこそこあったと思います。ただし、昼じゃなくて夜。0時を超えてからの雀荘。その後に僕も売人になったわけですけど、どこで新しい顧客を見つけるかといったら雀荘やポーカーゲーム屋でしたから。売人と出会いやすい、顧客を開拓しやすいマーケットなんですよね。

 

――諸橋さんの場合は、売人からどのような声掛けを?

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諸橋 徹マンをやってると、打った相手と初対面でも朝方には仲良くなっちゃうんですよ。で、「ちょっと休憩して、飯いかない?」「行きます、行きます」ってなって、朝から酒。酔っ払ってポロッとクスリの話が出ようものなら、「あるよ。欲しいんだったらやるよ」とくるんですよ。そうやって繋がりましたね。

 イラン人からも買うようになったんですけど、たしかイラン人の価格設定が1パケ1万円、2パケ1万5000円、3パケ2万円って1パケ以降は5000円ずつ上がる。で、5パケ3万円を買って、そのうちの1パケを友達に1万円で売ったのが、売人への第一歩でしたね。

 雀荘で知り合った売人に、その話をしたら「そんなの高いよ。俺がもっと安く出してやるよ」となって、そのうち「預けておくよ。金は売り上げてからでいいよ」ってパケを大量に確保して。

――商品確保の手間がなくなると、もう後に引けなくなりそうですね。

覚醒剤は「いま出せるよ」が必要

諸橋 楽だったんです。友達から頼まれてから仕入れに行くと、時間のロスがあるじゃないですか。やりたい人って「あー、冷やし中華食べたい」みたいな感覚で欲しくなるから、「明日なら出せるよ」じゃダメなんです。「いま出せるよ」が必要で。シャブを預かってからは常時在庫ありに近い状態だったので、「あいつに連絡すればあるよ」って有名になって。

 予備校の連中にもさばいたし、そこから「諸ちゃん、ほしがってるヤツがいるんだけど」って紹介されて顧客が増えていくっていう。

――その頃、先生はすでに覚醒剤にどっぷり?

諸橋 1浪の夏にはアブリで嗜むようになっていましたけど「この1パケで1週間持たせたいな」とか「週末のお楽しみに取っておこうかな。でも、今日は月曜だけどちょっとダルいから、吸っちゃおう」とか、そんなレベル。それでも東大は目指していたので「ああ、勉強やらなきゃ」と焦ってはいました。

――覚醒剤の売り文句に「集中力が出る」なんてありますが、覚醒剤の力を借りて受験勉強に打ち込もうといった考えはあったのでしょうか。