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気づいたら消防士に担がれ、部屋はまるまる焼けていた

諸橋 けっこうな火事です。朝方に水商売のバイトから帰ってきて、店から持ってきたウーロン茶のパックを鍋で煮出していたんですよ。その頃の僕の部屋って、吉祥寺の水商売のやつとかワルい連中のアジトみたいになっていて、出入りしては大麻、シンナー、ダウナー系のドラッグをやっていて。

 その日もみんなで、なにかをやってたんだと思うんですよね。それで、鍋に火をかけたままドラッグでズーンと沈んでしまったのか、単純に寝ちゃったのか。

 で、気づいたら消防士さんに担がれて救助されてました。ドカン、ドカン、ドカンってすんごい音が聞こえてきて、「なんか攻め込んできてる」って思ってたら、バーッと消防士さんが入ってきて「オイ、大丈夫か!」って外まで担いでもらって。

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 野次馬だらけで、助け出された僕らはドリフのコントみたいに顔がススだらけ。ワル仲間と顔を見合わせて「ヤベェ~、ウケる!」なんて爆笑して。部屋はまるまる焼けていたし、ほんとにどうかしてましたね。

 

母親に絶縁され、アニキに「面倒見てください」

――火災調査とかでクスリが出てきたりは。

諸橋 警察も来ましたけど、失火ということでそんなに追及されず。ただ、大家さんからは「麻薬やってんだろ」とは言われました。前々から他の住人の方々が、怪しい連中が出入りしていることに気づいていて、大家さんに苦情を言っていたようなんです。それで火事を起こしたもんだから「火事以外でもなんかやってるはずだから、あいつを追い出してくれ」って話にもなって。まぁ、それは当然ですよね。

 母親とは火事を出したことで絶縁されちゃったので、アニキに「面倒見てください」って頼んだら「いいよ」って快諾してもらって。それで燃やした部屋を出て、アニキから三鷹の競売物件だったアパートを紹介してもらって越したんです。だから、アニキに「若い衆になれ」とは言われてないんです。自分から「よろしくお願いします」なんで。

――そこで、大学生にして若い衆に。

諸橋 出会って半年くらいしてアニキからシャブを卸してもらってました。水商売のバイトも「渋谷に闇金の事務所を出すから、それまで吉祥寺で水商売しながらシャブさばいとけ」って指示があったからなんですよ。それで水商売の連中にガンガンさばいてました。

 背中に刺青を入れたのも大学生のとき。アニキに渋谷の親分のところに連れられて、横浜の彫り師を紹介してもらいました。

 大学2年生にあがるあたりで学校をやめるんですけど、その頃にはもう出来上がってましたね。

――アニキからの供給確保で、売人として完全にその道に染まっていったわけですか?