今年6月、がんのため61歳の生涯を閉じたダンスプロデューサーの夏まゆみ。モーニング娘。、AKB48、ジャニーズなどのアイドルから吉本天然素材まで多くのアーティストの振り付けを手掛け、育てたことでも知られている。
ここでは彼女の著書『エースと呼ばれる人は何をしているのか』(サンマーク出版)より一部抜粋。AKB48時代、前田敦子の「二番手」だった大島優子、そして高橋みなみのデビュー当時を振り返る。(全2回の前編/続きを読む)。
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安倍なつみが持っていた強みは……
エースの資格〈その2〉は「自信を持つ」ことです。
じつは、自信を持つのはそれほど難しいことではありません。現時点で「自分に自信がないなぁ」という人は、ついつい誰かと自分を比較して、劣っているところばかり見ている傾向があるようです。
以前、AKB48のあるメンバーが「○○ちゃんは歌がうまいし、△△ちゃんはダンスが上手、でも私には何もないんです」と泣きついてきたことがありました。
こういうとき私は必ず「できないことや苦手なことが山ほどあったとしても、強みが一個あればいいんだよ」と言うようにしています。なぐさめではなく心底そう思います。なぜなら核となる強みをひとつでも持っている人は、それをよりどころにして、さまざまな困難を乗り越えていけるからです。
実例をあげて説明すると、モーニング娘。の安倍なつみは集中力という強みを持っていました。彼女がモーニング娘。のセンターに起用されたのは、この集中力があったからにほかなりません。
アイドルグループのセンターはステージ上の人数によってダンスの動きが大きく変わってしまうという、負担の大きいポジションです。とくにモーニング娘。のときは本番直前にフォーメーションが変更になるといったアクシデントが何度もあって、そのたびに安倍は大変な思いをしました。