10歳の少年が姉と共謀して、万引きを働くケースも……。近年、「マイバッグ」や「セルフレジ」の普及によって、増えつつある「万引き」のリアルをお届け。

 万引きGメン歴24年のキャリアを持ち、これまで6000人以上の万引き犯と対峙した伊東ゆう氏に聞いた。(全2回の1回目/後編を読む)

これまで6000人以上の万引き犯と対峙してきたGメン、伊東ゆう氏が語る昨今の「万引き事情」とは?(©山元茂樹/文藝春秋)

◆◆◆

ADVERTISEMENT

「小泉進次郎は本当にふざけてますよ」

――最近の万引き犯に、なにか特徴はありますか?

伊東ゆう(以下、伊東) 「レジ袋有料化」と「マイバッグ」が万引きのスタイルを大きく変えました。購入した商品と万引きしたものを混ぜたり、お弁当をレジに通さず、そのまま電子レンジに持っていったり……。

 このように万引き犯が「言い逃れしやすい」のが昨今の状況です。レジ袋有料化を進めた小泉進次郎は本当にふざけてますよ。

――環境の変化といえば、最近は「セルフレジ」の普及も進んでいます。

伊東 セルフレジも万引き犯にとっては歓迎すべきツールです。複数の商品をレジに運んでも、実際にスキャンするのは1個だけ。未精算の商品はわざと落として、拾い上げつつ、そのままバッグへ……。万引きを指摘したとしても、「うっかりしてた」と相手は言い逃れできてしまう。あとは自分で買ってきた半額シールを勝手に貼り付けたり、自作の値札まで持ってくるヤツもいますよ。

(©山元茂樹/文藝春秋)

――店側からしたら、人件費削減のためにセルフレジを導入しているのに。

伊東 セルフレジ2~3台を導入すれば、従業員1人分の人件費を浮かせると言われています。ただし便利なものを導入した結果、不正がまん延するというパラドックスが発生している。最近は無人販売の店も増えてきましたが、正直危険だと思いますよ。盗まれるに決まってますから。

――万引きがしやすい環境にあるんですね。

伊東 あとフリマサイトの普及も大きいです。今は個人がなんでも自由に売れてしまうじゃないですか。昔でいえば、“バッタ屋”――正規ルート以外で仕入れたものを安売りするような商売は闇の仕事でしたが、最近は個人の万引き犯がそれをやるケースも増えました。