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「知っているのは20年前、まだ嫁さん(恵美容疑者)が20代の頃や。可愛い人やったよ。会えば『おばちゃーん!』と声かけてきよった。髪は短くて、キビキビ動いてモノはハッキリ言う、気さくな娘やった。だから悪い印象は全くないのよ。夫はこの土地の出身でね、叔父の病院の掃除の仕事やら瓦屋の仕事やらをやっていた。嫁さんも仕事を手伝っとって、働き者で偉いなと思っていた。夫に庭の手入れをしろとでも言われたのか、『おばちゃん植木のこと教えてくれ』と言ってきたことがあった。数千円でやってくれる業者を教えてやったら、『ありがとう』とちゃんとお礼の品も持ってきた。礼儀正しい子やと思ったな。ただ、よそ者はなかなか入れんちゅうところもあるけん、ムラの苦労はあったかもな……」

恵美容疑者が嫁いだ遠賀郡の自宅周辺 ©文藝春秋

 住民とトラブルを抱えることもあったという。

「あそこの家はゴミを夜に出しよってね。朝になったら犬や猫が散らかすもんやけん、1回、夜に出すなと怒ったことがあった。それでも決まりを守らん。仕方ないけん、ゴミ袋にかぶせるネットを近隣で500円ずつ出して買うことにして、管理する当番も決めることになったんやけど、『ゴミは職場にもってくから当番もやらんし金も出さん』と拒絶したのを覚えとるわ。もしかしたらイジメられたと思ったのかもしれんね。夫の実家も借金のせいでなくなってしもうたし、あの嫁さんも散々苦労しとると思うよ」(同前)

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親子を知る近隣女性は「名前も教えてくれませんでした」

 別の近隣住民によると、恵美容疑者の夫はマナーが悪く、隣家のガスボンベがある庭に火がついたままのタバコを投げ捨て、通報されるような“問題児”だったという。やがて恵美容疑者はまだ小さかった愛香容疑者を連れ、家を出た。別居後に最終的に辿り着いたのは、約30km離れた北九州市小倉北区の市営住宅だった。岡村親子を知る近隣女性が語る。

恵美容疑者と愛香容疑者が2人で暮らしていた小倉北区の市営住宅 ©文藝春秋

「10年ぐらい前に引っ越してきましたよ。娘さんは中学生ぐらいでしたね。町会費を集める関係などで親子と接点がありましたが、最初は自分の名前も教えてくれませんでした。どうやらお母さんは夫のDVに悩まされていたようで、『夫が探しに来るかもしれないから、近所の人に私のことは隠しておいて』と頼まれました」