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過去の事件現場では3件の不審死が…

 事件の舞台となったのは、本庄市にある築50年余の2階建て木造住宅。かつて駄菓子屋が営まれていた空き家で、2010年頃に、4人の男女が移り住んでいた。名字の異なる老人と老女、老女の息子、そして石井である。家賃は3万9000円。

「元競艇選手だという老人が石井の父。県南の資産家で認知症を患っているという老女、そしてその息子が石井の2番目の夫(※内縁の夫)だったようです。夫は10年ほど前、40代で亡くなっています。肝硬変だと聞きました。その後、入れ替わるように住むようになったのが、丹羽だったんです」(地元住民)

丹羽洋樹被告

 複雑な人間関係の中心にいたのが石井だ。丹羽の加入後も、不審な出来事は続いた。借家の窓には内側が見えないよう目張りがされ、老女が「殺される!」と裸足で近所に駆け込んだことも。そして今から6、7年前、“義母”である老女が失踪。それから1年も経たないうちに、今度は石井の父にあたる老人が自ら命を絶った。

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 石井と丹羽の2人になった家に、一昨年から柿本母子が取り込まれ、歩夢くんの事件後、借家の床下からは白骨化した高齢女性の遺体が見つかっている。

「白骨化した遺体は失踪していた老女とみられ、死亡時期や経緯、死因は不明。死体遺棄の公訴時効の3年は成立している可能性が高く、事件化はしませんでした。ただ、老女の死亡届は出されておらず、老齢年金などを詐取したとして石井と丹羽が逮捕され、石井のみ起訴されました」(前出・記者)

現在の事件現場。地中からは歩夢くん(当時5歳)の遺体が発見された ©文藝春秋

 死臭が漂い続けた借家は、今夏に解体され、現在は更地となっている。

「あんな事件が起きて、ご近所にも迷惑をかけましたし、そのまま残しておくのは忍びないと思っていました。不動産の保証会社と(丹羽や石井らの)弁護士の話し合いで、家の中に残っている元住人の荷物は廃棄してよいということになり、私物の撤去後、解体業者に頼んで建物は取り壊しました。今年7月初旬のことです」(所有者)

 現場を訪ねると、剝き出しの地肌に残暑の日差しが容赦なく照りつけていた。ここでいったい何が起きていたのか。28日から始まる裁判に注目が集まっている。