中日ドラゴンズが3年連続Bクラスを確定させた9月11日、私がアシスタントを務める文化放送のラジオ番組『岩本勉のまいどスポーツ』にゲストとして中日ドラゴンズ元監督の森繁和さんが来てくださった。私がどれだけ森繁さんを好きかというのは一旦置いておいて、森繁和さんに今季の中日ドラゴンズについてお話を伺った。
まずは低迷の原因について。昨年のオフ、そして今年の春のキャンプで、森さんは何度か立浪和義監督と話したという。
「外国人は、我慢して使うと言っていた。新しい外国人にはライト、4番、ホームランバッターを期待していたが上手くいかず、一番最初に崩れてしまった」
シーズン前、大きな期待を寄せていたアキーノ選手が思うような活躍ができなかったことがまず一つ大きな誤算だった。
立浪監督は若手選手に関しても「我慢して使う」と話したという。「ピッチャーを中心にキャッチャーは木下(拓哉)、そして龍空、岡林(勇希)のセンターライン。セカンドには良い内野手のルーキーがいっぱい入ったから積極的に使って守りの野球をやっていきたい。そう聞いていた」。キャンプ時には明確にその方針があった。
「監督2年目で、そういう若い世代を使ったチーム作りは当然だと思った」と理解を示す。森さんも同じように監督時代、若手を起用し続けると心に決めていたという。「当時で言うと京田(陽太)、福田(永将)、(高橋)周平。この3人は1シーズン使い続けると決めていた。故障したらダメだけど、この3人はなんとか1年やった」
しかし、今季のドラゴンズは一番のポイントにしていた外国人と若手のどちらも起用し続けることができず、中途半端になってしまったというのが森さんの指摘だ。
「今年は悪いものが全部出たと思うしかない。監督が一番辛いのは分かる。俺も経験あるからさ」と、森さんは立浪監督の気持ちを慮った。
2000本安打の大島が語った「まだ満足していない」
チーム自体は成績が低迷し苦しい時間も長かったが、明るい話題もあった。昨年から活躍を続ける岡林選手は高評価している。
「今年は結局出続けられた若手は岡林くらい。岡林は去年1年やったという自信もある。今年含めて丸々2年できたのはもう間違いないと思う」
森さんの駒沢大学の後輩、大島洋平選手の2000本安打について聞くと、「そんなもんはいつでもできるんだよ! あそこまでいけば!」と笑った。茶化すような口調だったが、とても嬉しそうなお顔が印象的だった。
「高校、大学、社会人を経てあそこまでやる。大きいものを打つのではなく、単打で足を使ってこれだけヒット数を増やすっていうのはすごい。大島のような選手はなかなかいないよ。それだけ丈夫ということ」
丈夫さの裏には圧倒的な練習量がある。「俺が監督やコーチをやっている時も、たくさん練習していた。大島は目立つところではやらない。一人で室内で打ったり、マシンで打ったり、早く来て外を走ったりしていた。こういう努力をしているんだなって。そういうところを見ている人は見ているし、後輩たちの見本にもなる」
2000本安打の後、大島選手から森さんにメールがきたという。「まだ満足していない、途中だって言ってました。『これからまだまだやる』って。だから俺も『当然だ』って返しましたよ」