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16歳までは変化球が苦手な外野手だった…ロッテのルイス・ペルドモが頼りがいのある投手になるまで

文春野球コラム ペナントレース2023

2023/10/02
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 パ・リーグホールド王が事実上、確定した助っ人右腕は、野球人生を外野手としてスタートしている。今年からマリーンズに加入をしたルイス・ペルドモ投手だ。

「野球を始めたのは10歳の時。友達に誘われて始めた。走るもの早かったし、肩も強かったから外野だった」と振り返る。

ルイス・ペルドモ ©千葉ロッテマリーンズ

「肩もいいのだし、ピッチャーをやってみたら」

 ペルドモは16歳まで外野手としてプレーした。憧れは同じドミニカ出身で自宅が車で30分ほどの距離にあり一緒にソフトボールをして遊んだこともあるというブラディミル・ゲレーロ外野手(メジャー16年間で2217試合に出場し449本塁打)とメジャー14年間1650試合に出場して214本塁打を放ったホセ・ギーエン外野手だった。地元のヒーローのように自分もなりたいと思いバットを振った。ただ、残念ながら若者が思い描くような長打はなかなか飛び出なかった。

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「いつもストレート待ちのバッターだった。だから変化球が来たらクルリとバットが回って三振。ホームランを意識してストレートが来ても力んで打ち損じていた」と振り返る。

 そして、当時のチームメートに現在はマリーンズで一緒にプレーをしているグレゴリー・ポランコ外野手がいる。「彼はとてもいい外野手で、本人は当時、パワーがなかったとか周囲に言っていたみたいだけど、そんなことはない。メジャーのスカウトがたくさん彼を見ていた。ボク? 誰も見ていなかったんじゃないかな。ホームランを打てなかったからね」とペルドモは笑い飛ばした。

 転機は突然、訪れた。サンフランシスコジャイアンツのスカウトから「肩もいいのだし、ピッチャーをやってみたら」と声を掛けられた。先にプロ契約を結んだポランコなどの選手たちと自分の現状を比べ、冷静に自己分析をして野手として頭打ちになっている以上、新しいチャレンジが必要であると判断をした。

「打撃がどうしても思うようによくならなかった。ボクには長打がない。切り替えるべき時だと思った」とペルドモ。ストレートと、見よう見まねで覚えたカーブだけでピッチャーに挑戦をすることを決めた。最初はストレートも140キロに届くか届かないか。それでもスカウトから将来性を買われ、転向3カ月でセントルイスカージナルスとの契約を勝ち取ることが出来た。忘れもしない2010年のことだ。

「最初は87から88マイルぐらい。契約した頃は90マイル。18歳の時に93から94マイル。メジャーで100マイルぐらい投げられるようになった」とペルドモは進化の過程を嬉しそうに話した。

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