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連載池上さんに聞いてみた。

池上さん、「公共」ってどんな教科なんですか?

池上さん、「公共」ってどんな教科なんですか?

池上さんに聞いてみた。

2018/03/14
note

Q 「公共」ってどんな教科なんですか?

 文科省が高校の学習指導要領改訂案を公表しました。その中に「公共」という科目があったのですが、どんな内容を勉強するのかイメージできません。どういう科目なんでしょうか?(10代・女性・学生) 

A 安全保障や領土問題について学ばせるという内容も盛り込まれています。

 たしかにピンと来ない名称ですね。これは現在の「現代社会」に代わる必修科目です。全員が履修しなければなりません。要は18歳から選挙権が与えられたのだから、高校生のうちに社会のさまざまな活動に参画できる力を養おうという趣旨です。

 従来の「現代社会」は、社会の仕組みなどを客観的に学びますが、「では、君はどう行動するのか」と問いかけるものになっていないのではないか、という認識が背後にあります。

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 このところ教育現場では「アクティブ・ラーニング」を活用すべきだという声が高まっています。先生が教壇から一方的に授業をし、生徒はノートを取る。こんな一方的な授業はやめ、地方自治にどう参加するか、裁判員裁判の裁判員に選ばれたらどうするか、など生徒が自らアクティブに学ぼうというわけです。

©iStock.com

 地方では議員のなり手がなくて議会が機能しなくなるなど、民主主義の危機的状況に陥っているところもあります。そんな危機意識があるのです。

 もちろん安倍政権の性格からして、道徳教育を充実させ、安全保障や領土問題について学ばせるという内容も盛り込まれています。本音では、これをしっかり学ばせたいという思いがあるのでしょう。

 アクティブ・ラーニングでは、弁護士を招いて模擬裁判をやってみたり、地域を支えるNPOのメンバーに授業を依頼したりという積極的で活発な展開を想定しています。

 さて、それだけアクティブな授業を展開できる教師がどれだけいるのか、という問題にもなりますが。

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