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「良い人間を育てたいと思っています。良いことも書いてください(笑)」

 筆者は昨年1月5日に、大阪偕星学園の野球部監督に就任した岩田氏の初練習を取材している。大阪府富田林市の高台に位置する同校のグラウンドは岩田氏の出身校・PL学園の校舎からも近い。その日、こんな会話を交わした。

2022年1月に大阪偕星学園高校の野球部の練習に初参加した岩田徹氏

「PL学園の校歌にある『羽曳野の聖丘』とはまさにこのあたり一帯のことを言います。不思議な縁を感じますね。単なる野球の技術を指導するだけではなく、良い人間を育てたいと思っています。(不祥事の報道ばかりではなく)良いことも書いてください(笑)」

 岩田氏と最後に会ったのは今年の3月だ。花巻東高(岩手)との練習試合で花巻東のスラッガー・佐々木麟太郎が清宮幸太郎の持つ高校通算本塁打記録に並ぶ111本目のホームランを放ったのでよく覚えている。花巻東のOBが大阪偕星学園の寮監を務めていたことから実現した練習試合のようだった。

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 大阪偕星学園の野球部はこの夏、大阪大会の準々決勝にまで進出し、不祥事からの立て直しが進んでいるように見えていた。しかしその矢先、岩田氏自身の暴力が明るみに出たのだ。

 岩田氏本人の責任はもちろんだが、ここまで不祥事が続けば学校の体質そのものにも疑問を感じざるを得ない。

大阪偕星学園高校

 今回の岩田氏の件に関して理事長の息子で、学校経営の実務を任されている太田尚樹専務に電話を入れた時も、問題の核心に触れることはなかった。

 学校は今後の対応として、以下のようなコメントを出している。

「本校としましては、指導の現場での暴力行為は、どのような経緯・関係性があろうと看過できるものではないと考えております。今後も継続して、コンプライアンスを徹底すると共に対話を重んじた学校作りを目指しています」(梶本校長)

 しかし「対話を重んじる」と言いながらも、野球部での不祥事がSNSなどで発覚して対処に追われる事態になったのは今回のケースだけではない。大阪偕星学園が自浄作用を取り戻す日は来るのだろうか。