「もちろんメーカーや製品にもよるので、一概にオススメできるわけではありませんが、近所のお買い物とか送迎とか、そういう日常の足に使う程度なら激安タイヤでも問題ないでしょう。これは極端な例ですが、人間の靴も、本気で走るなら専用の運動靴が必要だけど、買い物に行く程度ならサンダルでも全然OKじゃないですか」(個人経営タイヤショップオーナーB氏)
このように「ハードな使い方をしなければ問題ない」「日常の使用域では違いを感じにくい」というのが共通の見解であり、アジアンタイヤを扱っていない店舗でも、「アジアンは絶対に避けるべき」といった話は聞かれなかった。
「高ければすべての性能がよくなる」は間違い
そもそも一般に、高いタイヤと安いタイヤでは何が違うのか。簡単に解説してもらった。
「タイヤによってセールスポイントは異なりますが、大まかに『運動性能』『快適性能』『環境性能』という三つの角度から見るのがいいと思います。
運動性能はたとえば高速道路でバシッと思った方向に進めるとか、雨の日に足元を取られにくい、という話ですね。快適性能はタイヤの走行音が少なかったり、細かい振動が抑えられたり。環境性能は燃費がよくなったり、タイヤが長持ちしたりということです」(大手タイヤ量販店スタッフA氏)
当然、値の張るタイヤほど総合的な性能は高くなるわけだが、「高ければあらゆる性能が安いタイヤより向上する」というわけでもないらしい。
「タイヤに求められる性能って、互いに矛盾する部分があるんですよね。たとえば路面によく食いつくタイヤほど、運動性能は高くなるわけですが、その反面で乗り心地はゴツゴツしますし、走行音を抑えることも難しくなります。そういう風に、トレードオフな要素を高レベルで両立するには、やはり相応のコストや開発力が必要になってきます。
逆に言えば、タイヤの基本となる運動性能に限定すれば、無名メーカーの格安タイヤでも一定のレベルに至っているんですよね。日常的な場面での走る・曲がる・止まるという部分に関しては、安いタイヤでも不安のない水準に達していると思いますよ」(同上)
たとえば「通常の速度域でスリップしない」であるとか、「雨の日でも滑らずに止まる」であるとか、そうした基本的な運動性能に関しては安いタイヤでも必要最低限の性能は期待できるとのことである。
使用環境によっては「気になるポイント」も
もちろんアジアンタイヤのうちに含まれるメーカー・製品はさまざまであり、価格や性能もピンキリだ。あるタイヤショップのオーナーは、次のような理由からアジアンタイヤを扱っていないという。