「無名メーカーの激安タイヤでも、日常的な場面では大きな差は感じにくいですが、私としては『製品によって弱点がはっきりしすぎているな』と感じることがあります。たとえば舗装の悪い道でやたらとロードノイズが大きかったり、雨の高速でちょっと不安があったり、性能の劣化がやや早かったり。
もちろんそれを知ったうえで安く済ませる分にはいいのですが、車に詳しくないお客さんに『どんな場面でもストレスなく使えますよ』と胸を張ってオススメできる製品は限られているように思いますので、うちでは扱っていません」(個人経営タイヤショップオーナーC氏)
ドライバーによって「気になるポイント」は十人十色であるから、ただ乗る分には問題がなくても、製品によっては特定のシチュエーションでアラが目立ってしまうこともあるのだろう。安いタイヤを購入する際には、その特性を理解したうえで選ぶようにしたい。
「国産と区別する意味はない」レベルのメーカー
しかし、タイヤの性能に相反する部分がある以上、特定の弱点が生じうるのは国産も同じであるように思えるが、そのあたりの事情はどうなのだろう。
「国産タイヤも当然ピンキリではあります。ただ、日本には独自のラベリング制度があって、濡れた路面でのブレーキ性能やタイヤの転がりやすさに関して基準がありますから、大きな弱点のあるタイヤというのは少ないと思います。国産は低グレードでも、一定のバランスは確保されている印象です」(同上)
つまり国産タイヤの場合には、特定の状況で弱点が浮き彫りになるリスクが少ない傾向にあるというわけだ。ただしこの点に関しては、別のショップから次のような話もあった。
「アジアンタイヤでも、韓国のハンコックやクムホなど、EU基準のラベリング認証を受けているタイヤは信頼性が高いと言えますね。このあたりのメーカーは世界的にもかなり普及していますし、ハンコックはポルシェやBMWの走りを重視したモデルで純正採用され、最近ではトヨタや日産でも採用されていますよね。もうこのレベルになると、国産とアジアンに分けて考える必要はないのかな、とも思います」(大手タイヤ量販店スタッフA氏)
2022年におけるグローバル市場での売上高を見てみると、ハンコックは7位につけており、これより上の国産メーカーはブリヂストンと住友ゴムの2つのみ。アジアンタイヤのなかにも、世界的に評価されているメーカーや、国産に比肩しうる品質を達成しているメーカーもあるわけである。
「ガッカリポイント」を許容できるか
品質面で高い水準に至っているメーカーがある一方で、国産に比べて品質管理の甘いメーカーもあるとの声も聞かれた。大手タイヤ量販店の作業担当は、アジアンタイヤの組み付け時などに小さな違和感を覚えることがあると話す。