「アジアンでも名の知れたメーカーは品質も統一されている傾向にありますが、メーカーによっては細かい部分で『作りが甘いな』と感じることがありますね。タイヤサイドのバリが残っていたり、個体差で真円から遠くなり、バランス取りが難しかったり。
それでも、ちょっとしたことでバーストするなんてことはありませんから、日常的な用途で影響があるとは考えにくいと思います」(大手タイヤ量販店スタッフD氏)
実用上は問題ないが、細かな部分で「価格なり」の箇所が見られることもある。とはいえ現在では、一部で噂されるような「ヤバいアジアンタイヤ」は見られなくなったという。
「アジアンはすぐにバーストする」という話は無茶な使われ方をしていたから
「昔はたしかに、かなり品質の低いものがありました。雨の日になるとまるでコントロールが効かなかったり、消しゴムのように減っていったり。品質面からアジアンを扱わないタイヤ屋さんも多くて、激安アジアンは一部の改造車オーナーが使うもの、という雰囲気がありましたね。
型落ちの高級車をインチアップして、タイヤ代を抑えるためにアジアンタイヤを履いて。そのうえタイヤをハの字にしたり、合わないサイズを引っ張って履いたり。個人的な印象ですが、『アジアンはすぐにバーストする』みたいな話は、そういう無茶な使われ方をしていた背景もあるのかもしれません」(個人経営タイヤショップオーナーB氏)
こうした事情もあって、アジアンタイヤの安全性を疑問視する声は今でもよく聞かれる。しかし現在では、少なくとも「予算や用途次第で十分に検討に値するレベル」には達していると言えそうだ。
「最上級」を求めなければアジアンは高コスパ
ところで今回調査を進めるなかで、顕著だったのが「国産最上位クラスのタイヤ」に対してタイヤショップ関係者たちが全幅の信頼を寄せている点だった。彼らのほとんどが、自身の車には国産トップブランドの最上級タイヤを履かせているのである。
「国産各社の看板商品は本当にスゴいですよ。日常的な場面で違いを感じやすいのは、静粛性や乗り心地を重視したコンフォート系のタイヤですが、なかでもプレミアムコンフォートと呼ばれるような商品は、もう誰でも違いを実感できるレベルだと思います。それこそ、車のランクが2つくらい上がったと錯覚するほどです」(大手タイヤ量販店スタッフA氏)
国産最上級タイヤの価格は、一般的なアジアンタイヤの2倍から3倍にもなる。それでもプロが選んでいるのだから、金額に見合うだけの違いはあるのだろう。