「借りたモノ」の扱い方には、その人の人柄が端的にあらわれる。
人のモノは慎重に扱うのが常識的な態度とされているが、借り物だろうが構わず、ぞんざいに扱ってしまう人もあるようだ。とりわけ「レンタカー」は、借りる側が「客」であることもあり、「雑な扱い」を受けることもしばしばである。
車を借りることは、本やゲームを借りるのとは違う。高額な車両に対する賠償責任に加え、ドライバーとしての社会的責任が伴う。用途も限定されていないため、貸した側が「思ってもみなかった姿」で返ってくることもある。
借りる側にはさまざまな「責任感」が求められるレンタカーだが、現実はそう建前どおりにはいかない。事故やトラブルが頻発するなか、常識外れの行動に出る客もあるだろう。
とはいえ、レンタカーを日常的に借りている人はそう多くなく、利用時の注意点について抜け目なく把握しておく、というのは案外難しいものである。想定外のトラブルを避けるうえで、「イレギュラーな事例」から学べることもあるかもしれない。
ここでは、現在レンタカー店に勤務するスタッフや、かつて勤務していた元従業員から聞いた「ヤバい客」についてのエピソードを紹介する。
車内に残される“エグい”痕跡
まずは「車内の汚れ」についてである。レンタカーは基本的に「移動の足」ではあるが、生活空間の一部にもなるがゆえに、普段は目につかない「エグい部分」が露呈することもあるようだ。
「ほとんどのお客さんはキレイに使って返してくれるんですが、一体何に使われたんだって車も稀にありますね。1日で車内が泥だらけになっていたり、ペット臭とか、吐いた臭いとか。仕方がないところもありますが、処理がしんどいですね。返却時に汚したことを伝えてもらえれば、まだ抵抗感はなくなりますが……禁煙車なのにタバコ臭くなっていたりとか、悪質な場合には休業補償を支払ってもらうこともあります」
多くの場合、「借りたモノは汚さずに返す」という常識は守られているけれども、当然例外はあるらしい。子どもが吐いてしまうなど、不可抗力の場合もあるが、その場合にも返却時に申告しておくことが望ましい。
ほとんどのレンタカー会社では、著しい車内の汚損や臭気などを残した客に対して、清掃料や休業補償を請求する旨を貸渡の約款に定めている。しかし実際に請求がなされるかは、現場の裁量による部分も大きい。正直に事情を説明するのと黙っているのとでは、当然心証も変わるだろう。
「ゴミとか落としものは普通にありますけど、オムツとかコンドームとか、そのままシートの裏に捨ててあったりして、なんとも言えない気分になります。なぜかTバックが落ちていたこともありましたね、ハイエースだったんですが、ベテランの方が『撮影かなぁ』って」