興行収入72億円突破と大ヒット中の、宮﨑駿監督(82)の『君たちはどう生きるか』で作画監督を務めた本田雄氏(55)が、自らのアニメーターとしての半生を振り返った最新ロングインタビュー「宮﨑駿監督と庵野秀明監督」が、月刊「文藝春秋」2023年10月号(9月8日発売、「文藝春秋 電子版」では9月7日公開)で、10ページにわたり掲載される。

 本田氏は、同業者からは「師匠」と呼ばれる名うてのアニメーターだ。日本アニメーション界を代表するさまざまな作家のもとで仕事をしてきた。だが、何と言っても“出世作”は、庵野秀明監督のもとでたずさわった『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズだろう。

本田雄氏 ©文藝春秋

ガイナックスの奇抜だった入社試験

 高校卒業後、故郷の石川県から上京した本田氏は、アトリエ戯雅などを経て、庵野監督らが率いるアニメ制作会社・ガイナックスに入社。『トップをねらえ!』『ふしぎの海のナディア』『新世紀エヴァンゲリオン』の原画や作画監督を担当した。

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 多くの熱狂的ファンに支持されるガイナックスだが、その入社試験はとても奇抜だったという。

「面接のほかに3種類のコースから一つを選んで、そのコースのテイストに沿って絵を描くという試験がありました」

 ひとつは、宮﨑監督っぽい絵を描く「テレコムコース」、ロボットと女の子を描く「アートミックコース」、もうひとつは「大友克洋コース」。この中からひとつを選ぶのだ。

宮﨑駿監督 ©文藝春秋

「僕は『テレコムコース』にしました。(中略)後で聞いたら、『大友克洋コース』を選んだ人は、それを選んだ時点で大体落とされたらしいです。『大友さんのように描けると思うなんて勘違いも甚だしい』ということらしい。選ばなくてよかったですよ(笑)」