1ページ目から読む
3/4ページ目

逮捕まで石井の嘘を全て信じ込んだまま、内縁関係を続けた丹羽

 公判の証言によれば、2022年3月5日に逮捕されるまで、丹羽は石井の嘘を全て信じ込んでいたという。法廷で丹羽は、石井とは「縁を切る」と述べたが、「これまでの彼女に対する愛情は、正直、否定したくないですが……」と未練も滲ませた。

丹羽被告

 石井陽子とは何者なのか。実家があったのは広尾ではなく、埼玉県川口市。競艇選手の父とスナックママの母を持つ海千山千の“悪女”だった。地元の旧友が打ち明ける。

「陽子は子供の頃から口が上手く、虚言癖があったので、いつか詐欺か何かで捕まるんじゃないかとは思っていましたが……。小学校の頃は、母親が経営するスナックの2階で暮らしていました。家では、いつも母親から怒鳴られていた覚えがあります。『早く風呂を洗え! 垢が浮いてるだろ!』とか。その前は四国か中国地方に住んでいたようで、途中から弟も呼び寄せられたんですが、陽子は自分が母親にされていたように、弟をこき使うようになりました。勉強はできませんでしたけど、小学校の林間学校では、ジュディ・オングの『魅せられて』を熱唱。歌手になればいいのに、とみんなに言われていました」

ADVERTISEMENT

競艇選手の有望株だった夫を、多額の借金で自殺にまで追い詰めて

 石井は19歳の時、父と師弟関係にある9歳年上の競艇選手の男性と結婚し、二女を出産する。夫は年間3000万円近い賞金を稼ぐこともある有望株だった。

「当時、陽子の金遣いはとても荒かったです。タクシーに乗ってワンメーターで降り、1万円を出して『お釣りはいらない』と言ってみたり、水槽のある魚屋で高級食材のアワビを全部買ってみたり。家族が住んでいた川口市内のマンションで、一緒に夫のレースを見たことがあるんですが、負けてしまって、『ここで勝ったら100万円のダイヤの指輪を買ってもらえたのに!』と自慢交じりに悔しがっていました」(石井の友人)

石井陽子被告

 ところが――。結婚から10年余りが経過した1998年、夫は40歳の若さでこの世を去ってしまう。地元の住民が明かす。

「自殺でした。妻の陽子が作った多額の借金が原因で、首を吊ったと聞いています。お葬式の後、陽子さんは夫の遺骨を放置したまま、お寺と音信不通になりました。遺骨は今もお寺に預けられたままだそうです」

 一方で、石井は夫が存命中から次の標的を定めていた。前出の旧友が語る。