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「吹っ切れた」岸田文雄、解散に向けて怒りの猛進…岸田さんは割と喧嘩師で勝負がお好き?

2023/09/12

genre : ニュース, 社会

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 さらに、1990年代から少子化対策をしないとまずいよねと言い続けてきたものの、ついに日本の人口は大きく減少するフェイズに入ってしまい、高齢者の割合が増えすぎて社会保険料が上がりまくっております。こりゃもう、どうにもならん。働いて納税する少ない若者の数で、大量の高齢者を養うなんて無理な話ですから、年収によっては、納税額よりも納める社会保険料のほうが高いという事態もあり得ます。

 これをどうにかするための、旧民主党政権最後の野田佳彦さんと安倍晋三さんとの解散での合意が2012年「社会保障と税の一体改革」だったはずなんですけどね。あれからもう10年ですか、改革なかなか進まないまま。

やる気です、岸田さん。

 そういう体たらくにした自民党政治が悪いのだから、いまの岸田政権が責任を取るべきというのも理屈ではそうなんですけど、岸田さん自身がなんか悪いことをしたわけでもないんですよね。公私混同が酷いかなぐらいかな。政府役職関係に身内・親族を使うのはやめたほうがいいですね。

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 あと、自民党女性局の子連れフランス視察旅行とか風力発電の口利きで競走馬なんてマジ最悪でしたからね。せっかく真面目に働いて他でポイント稼いでも、しょうもないスキャンダルで全部吐き出すのを繰り返しているのは残念なことです。

 で、そんな岸田さん、ついに9月13日に内閣改造と、党役員人事に着手するよと言い始めました。おー。さらに、大型の経済対策を次の国会冒頭で議論するよって話になり、さらにさらに、長年の懸案だった統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の解散命令請求を10月中旬にはするよとまで言い始め、さらにさらにさらに、東京都では余計なことを言って公明党さんをブチ切れさせ東京での選挙協力関係の解消まで突き付けられたところから岸田さん自身の介入で元鞘に収めてもらっています。これはもう11月に選挙をやるための各種の布石としか言いようがありませんですよ。やる気です、岸田さん。

©文藝春秋

 自民党内の議論でも、一部の自民党議員からは相変わらず統一教会の解散請求は見送るべきという議論がもっぱらで、その意を受けた統一教会も「岸田政権は解散請求は進めない」と踏んでいた節が強くありました。しかしながら、岸田政権が解散請求に踏み切ったのは、要するに統一教会から支援を受けて議員バッジをつけてる自民党議員もろとも落選していただいて結構という斬り捨てなのでしょう。

 実際、夏に選挙するかどうかで騒いでいたときも、かなりはっきり統一教会から支持を強く受けていた議員は落選するであろう予測は出ていました。安倍さんを殺した事情でもあった統一教会に依存している議員は、自民党であってもけじめをつけろ、という。

 その意味では、ちゃんとした政府広報というか、国民との対話が行われているならば、無い無いと言われていた岸田政権のテーマ性、メッセージ性は実はちゃんとあるわけです。無能とか検討使とかボロカスに言われがちな岸田さん、仕事はしっかりやっています。岸田さんの決断を支える官僚も頑張っています。

 ただ口下手なのかアピール能力がないのか知りませんが、国民には岸田政権が自分ごととして対応してくれているという実感がないという評価が出ていて、これはもったいないなとも思うのです。

 各種調査でも、岸田さんの人柄については支持者も不支持者も歴代自民党政権の中では評価されており、支持率が低くても「岸田さん自体は好き(嫌いではない)」なのです。調査が始まって以降、歴代の自民党総理、とりわけ森喜朗さんや麻生太郎さんの壮絶な嫌われぶりからすると、支持率がそこまで下がり切らない理由は岸田文雄という人格の高潔さと割と清潔感のあるイケメン中年だからだろうと思います。