内政では「新しい資本主義」とか「デジタル田園都市国家構想」など一度聞いただけでは分からないことを言う割に、国民生活に直結する懸案事項では、かなりの喧嘩師ぶりを発揮しています。特に、外交では福島のALPS処理水批判を世界的に展開していた中国の首相・李強さんをASEANの会場で発見すると敢然と声かけ。これを呼び水に中国を国際会議での公式会見の場で名指しで批判してしまいます。
いいぞ、俺たちの岸田。
「行こう」 首相は箸を置いた 日中首脳「立ち話」の舞台裏
漢・岸田文雄の真骨頂
思い返せば、「やる」となったら周囲の反対を押し切ってでもやろうとするのが岸田流とも言えます。さすがは東京大学二浪の男。悲運の横死を遂げてしまった安倍晋三さんの国葬を断行したのも、キーウ電撃訪問も、G7広島サミットでの各国首脳の原爆資料館立ち寄りも、「やる」となったらど真ん中を突っ切ろうとする御大将こそ漢・岸田文雄の真骨頂と言えます。
ネットでは岸田批判として「息を吐くように増税」と揶揄され、国民生活が厳しさを増す怨嗟の声が響き、岸田内閣の不支持率は50%を超えてしまっています。支持率こそ下げ止まりましたが、こんなんで夏に解散総選挙を打とうと真面目に検討していたのも事実なんですよ。正直やんなくて良かったですね。
ただ、実は岸田政権はなにひとつ増税はしていません。むしろ、経済対策でカネをばら撒こうとしていますね。
「海外にカネをばら撒いている」という批判も、蓋を開けてみればほぼ全額が円借款、すなわち開発援助の貸付であり、しかもその援助で潤うのは日本企業という仕組みになっています。批判者が考えるほど岸田さんは馬鹿ではない、ということになりましょうか。
岸田さんがその死を泣いて嘆いた安倍晋三さんが手がけたアベノミクスで、デフレ対策の名のもとに大胆な金融緩和を行って確かに雇用が生まれたのは事実です。しかしながら、結果的に長年の低金利で円安に誘導され、いまや「安い日本」が当たり前になってしまいました。
海外から観光客が押し寄せるのも、ガソリン代がリッター188円とか法外な値段になっているのも、電力代が上がり続けるのも単純に日本の国力が衰退したからというよりはゼロ金利によるデフレ脱却にこだわり過ぎたアベノミクスの副反応とも言えます。