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「ベンツとかレクサス、BMWに乗りたい」

「熊川は去年の10月から半年ほど大阪府松原市内にある解体業者で働いていました。人懐っこいタイプで、『飯でも行きましょう』と積極的に先輩に声をかけるようなやつでした。同じくらいの年代の同僚も3、4人いたので、仲は良かったし、和気あいあいとした雰囲気で働いてましたよ。ここに来る前は、別の解体業者を転々としていたそうです」

熊川容疑者

 熊川容疑者は、この職場で働き始める際、周囲に“自分の夢”を吹聴していたという。

「『1年後、独立して親方になりたい』と。だから、最初は熱意とやる気があるやつなのかと思ってたんだけど、結局は口だけでしたね。1カ月に20日くらい働いた月もあったけど、『性病になったから入院しないといけない』とか、よく分からない理由で休むことも多かった。月に10日程度しか働かないこともあった。

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熊川容疑者

 そのくせ、話だけはやたらと大きくて、『ベンツとかレクサス、BMWに乗りたい』ってずっと言ってた。でも、あいつはそもそも自動車の運転免許すら持ってなかった。

 熊川はタバコは吸うけど、酒もギャンブルもやらなかった。その点ではあまり金がかかる生活はしてなかったけど、そもそもうちは日給1万3000円だし、あいつは勤務日数もまちまちだったから、とてもお金を貯める余裕はなかったと思う。実際、『家賃が払えない』とかいう理由で、親方によく給料の前借りをしていた」(同前)

熊川容疑者が住んでいた家

 #1で触れたように熊川容疑者がAさんの賃貸住宅に住んでいた8カ月の間に、たびたび家賃の支払いが滞った。Aさんによれば、支払いが遅れても催促の電話の翌日には振り込まれていたという。

 そんな熊川容疑者が「突然消えた」のは今年3月17日のことだった。