読者の考察によって、新しい物語が作られる
――『近畿地方のある場所について』がSNSを中心に話題となり、日本中のホラーファンに広がっていくのをどう見ていますか?
背筋 私が見ていた当時の2ちゃんねるのオカ板みたいだな、と嬉しく思っています。オカ板は、どこの誰が投稿しているのかも分からない、実際に起こっているかどうかもわからないものに、いろんな人がいろんな考えを述べていく。
『近畿地方のある場所について』も、「嘘だろ」と言う人もいれば、本気で怖がる人もいる。投稿されている内容から考察を始める人もいる。この一連の流れが、さらに新しい物語を作っていると思うんですよね。
――それは、小説を書き始めた当初から計算していたのでしょうか。
背筋 全然していなかったです。これまでお話ししてきたように、不条理の先に自分なりの解を出したくて小説を書きました。でも、書き進めるうちに、カクヨムやTwitter(現X)上で考察をする方がどんどん現れて。完全に予想外の出来事でしたが、2ちゃんねるの空気感は大好きなので、オカ板のような流れになって嬉しい限りです。
――最後に、文春オンラインの読者に向けてメッセージをいただけますか。
背筋 今回発売した書籍には、カクヨムには掲載していない書き下ろしや「取材資料」の袋とじがついていたり、応援店舗で購入すると「呪いのシール」がついてきちゃったりします。ほかにも裏表紙に仕掛けがあるなど、紙ならではの仕掛けをしているので、すでにカクヨムで読まれた方にも楽しんでいただけると思います。
かわいがってあげてください。