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玄関を開けると女性が申し訳なさそうに立っていた
「隣の扉が閉まり、彼氏の声が聞こえると『また始まるのか……』とゲンナリ。日中、うとうとしているときに隣から声が聞こえて『昼もやるのか!?』と驚いて飛び起きると、隣室のテレビの音だった、なんてこともありました。当時は少し神経質気味だったかもしれません」
そんな戸田さんの苦悩は、ある日を境に終わりを告げる。
「休日の昼間に呼び鈴が鳴り、玄関を開けると、そこには隣の部屋の女性が申し訳なさそうに立っていました。菓子折りを渡してきて『いつもうるさくしてすみません……』と、謝りに来たんです。聞けば、同じ建物に住んでいる大家から“騒音”に関する厳重注意を受けて、ほかの住人にも謝罪しているとのことでした。自分も困ってはいたけれど、咎めるのも気が引けて『ああ、はい……』とだけ返しました」
「そんなイイもんじゃないですよ」
以来、深夜の“騒音”は止んだものの、2カ月もすると引っ越していったという。「さすがに居づらかったんでしょうね」と、戸田さん。
「もう10年以上も前の話ですが、いまだに忘れられない出来事です。昔はドラマなんかで、壁に耳を当てて隣の部屋にいるカップルの声に耳を澄ませる、なんてシーンもありましたけど、そんなイイもんじゃないですよ」
隣人トラブルの多くは、実際に住みはじめてから発覚するため未然に防ぐのは難しい。誰もが平穏な生活を送れるように願うばかりだ。