用意した試乗車に全員、度肝を抜かれていた
「イーロンはベッドで電話を握りしめて、なんとかしようと必死に話をしていました」
果たして奇跡は起きた。一時しのぎの額ではあったがテスラへの追加出資を投資家たちが承認してくれたのだ。マスクのほほには涙が光っていた。
「あそこで承認が得られなければテスラは死んでいましたし、電気自動車という夢の復活も大きく遅れていたでしょう」
マスクは、ドイツのダイムラー社にも売り込みをかけていた。翌年の1月、テスラに到着したダイムラー幹部一行は、いらついていた。名前も聞いたことがない金欠の小企業であるテスラなど、自分たちが来るところではないと思っていたのだろう。マスクはその様子をこう語る。
「どうにも不機嫌で、さっさと帰りたいと思っているのが見え見えでした。ありあわせのパワーポイントプレゼンテーションを見せられるのが関の山だと思っていたようです」
マスクは、用意していた車を運転してみませんか、と提案する。ダイムラーの小型車にモーターとバッテリーを組み込んだ試乗車だ。幹部たちが試乗したところ、すさまじい加速で、0―100キロも4秒ほどしかかからない。これには全員、度肝を抜かれていた。そして、大きな支援を約束してくれたのだ。
「あのときダイムラーが投資してくれなければ、テスラは死んでいましたね」
なんとか倒産危機を切り抜けたマスク。だが、テスラは2018年に、またもや倒産危機に見舞われるのだ。
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