1ページ目から読む
3/4ページ目

「これ以外で比較的確認しやすいポイントとしては、パネルを車体に接合している箇所のボルトでしょうか。ドアやトランク、ボンネットやフェンダーなどの接合部を見て、ボルト周辺の塗装が剥がれていないか、ボルトに工具の跡がないかを見ていきます。そういう跡があるのなら、その箇所のパネルを取り外すような修理をした可能性が高いということです。

ボンネットを接合している箇所のボルト。この車両はボンネットを交換しているので、ボルトの角に工具の跡が残されている

 さらに見ていくのであれば……ドアやボンネット、トランクなどの縁にあるシーラー(機密性を高めるためのシーリング剤)の状態を確認してみるのも手ですね。どこも交換していない車であれば、縁が規則的なラインになっていますが、交換している場合、波を打っていたり気泡が入っていたりと、何らかの形跡が残されていることが多いです。

ドアを縁どりながら小さく盛り上がっているラインがシーラーの跡。純正状態ではこのように正確なラインが出ているが、交換部品の場合にはここにヨレや歪みがあったり、プチプチとした感触があったりすることもあるという

 専門家であれば、ドアやトランクのウェザーストリップ(開口部を縁取るゴム製のシール剤)を外し、スポット溶接跡に異常がないかなどを調べていくことになりますが、このあたりは手間もかかりますし、判別もかなり難しいかと思います」(同前)

ADVERTISEMENT

ドアのウェザーストリップを一部外した状態。正常なスポット溶接跡はこのように円形の打痕が規則正しく並んでいるが、この跡が潰れていたり歪んでいたりする場合には過去に修理をしてある可能性が高い

 ウェザーストリップは脱着の手間があるため、現車確認の場面でチェックすることはなかなか難しいが、それ以外はプロでなくとも確認できる箇所が多い。とにかくドアやボンネット、トランクといった「開く部分」を開けてみて、その接合部や縁の状態を確認していくわけである。違和感がある場合には、反対側の同じ箇所と見比べてみるなどして、それが正常な状態かどうかを確かめてみるのもよいだろう。

試乗なしでもチェックできるポイントとは

 もちろん修理の跡がなかったとしても、車が正常に動くとは限らない。機関を含む車両状態を適切に見きわめる方法はあるのだろうか。

「試乗ができればベストですが、中古車はナンバーがない車両も多いので、そもそも公道に出られないケースもあります。そのためまずは、点検記録簿などで定期的に整備や点検を受けていたのかを確認するのがいいでしょうね。

 あとは、試乗はできなくてもエンジンはかけられるでしょうから、メーターパネル内のチェックランプが点灯していないか、アイドリングが不規則になっていないかを見ていきます。

 もし敷地内で動かせるようであれば、リバースも含めギアの入り方に違和感がないか、車がまっすぐ進むか、ハンドルを切ったときに異音がしないかなども確認しておきましょう。

 ほかにも、エアコンの動作や異臭、パワーウインドウやライト類が正常に動作するかなど、動かせるものは一通り動かしてみるといいと思います」(個人経営中古車店代表A氏)

 さらに、エンジンをかけたままボンネットを開け、異音や異臭がないかを確認することも重要だ。キュルキュルした軋み音や、ガラガラという振動音など、異常がある場合には耳障りな音が出るケースが多いという。異臭についても、配線やオイルの焼け付きなど、さまざまな異常を知らせるサインなので、五感を活用しながら違和感のある箇所を見つけていきたい。

「あと、意外と見落としがちなのがタイヤです。溝が残っているかはもちろんですが、車両状態を見るうえで重要なのは偏摩耗がないかどうかです。タイヤの内側だけ、または外側だけが極端に減っているという場合には、足回りの状態がおかしくなっている可能性があります」(同前)