外装確認は「見る角度と距離」を変えながら
やはり車両状態を知るためには、自分の目で現車を確認することが欠かせない。しかし車に詳しくない人が中古車を見るときに、まずどのような点に気をつければよいのだろうか。
「プロではない人が車両状態を判断することは難しいですが、それでも最低限の外装チェックでわかってくるポイントもあります。まず大前提として、現車確認は雨の日や日没後を避け、車両をよく観察できる環境で行ってください。
外装を見るときは、車の近くからキズやヘコミの状態をチェックするだけではなく、ある程度離れたところからも眺めてみることが大切です。とくにボディ側面を見たときに、ドアの一部に塗装のムラがあったり、バンパーだけ微妙に色が違ったりなど、パネル間で塗装の状態が異なる場合は、板金修理をしている可能性が高いです。
あとは、目線をボディと水平にしてみると、ボディ表面の状態が把握しやすくなりますよ。少しずつ角度を変えながら、塗装面が波打っていないか、反射がボヤッとしている箇所がないかなどを確認してみてください」(板金修理工場代表D氏)
ただし、このようなチェックによって修理跡と思しき箇所が見つかったとしても、それが必ずしも「避けるべき車両」であるとは限らないという。たとえば「ドアだけ微妙に色が違う」という場合、過去にドアを交換したものと想定されるが、それだけでは「軽く側面を擦ったキズを直すためのドア交換」なのか、それとも「フレーム(車体の骨格部)にまで及ぶ損傷を修理する際のドア交換」なのか、判断がつかないというわけだ。
「外装でとくに注意すべきなのは、パネル間のチリが合っていないときですね。ボンネットが微妙に浮いているとか、トランクやリアハッチの隙間が均一でないとか。そういう車は、車体のどこかが歪んでいるものと考えられます。古い車なら経年劣化の可能性もありますが、過去に大きなダメージを受けている可能性も高いので、パーツとパーツの隙間は念入りに確認してください。ボンネットとドア、トランクはすべて開閉してみて、立て付けがおかしくないかも調べておきましょう」(同前)
まずはボディの塗装状態と、パネルの継ぎ目を確認し、修理の痕跡や接合部の歪みがないかを見ていくわけである。これだけで修復歴の有無を確定することはできないが、ボディ状態の良し悪しについて一定の判断材料は得られるだろう。
修理の痕跡はココに残される
さらに修理の痕跡を探っていくには、より目につきにくい箇所までチェックしていく必要がある。なかなか骨が折れる作業だが、購入する車両の状態は安全性にも関わる問題なので、できる限り細かく見ていきたい。