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友人が次々と「変な臭いがする」と訴えた出来事

――前編では「寝ているときに誰もいないはずの部屋から足音が聞こえる」という話がありましたが、呪物と一緒に暮らしていて、他に「何かの気配」を感じることはありますか。

田中 呪物の位置が変わっていたり、閉めたはずのふすまが開いていたりすることはあります。でも、僕自身の体験はそのくらい。「気のせいかも」「偶然かも」と思う程度のことが多い。僕よりも、僕の家に泊まりに来た人のほうが何かの気配を訴えることが多いですね。

 

――泊まりに来た人たちは、どんな訴えを?

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田中 僕の部屋に来ると、金縛りにあうとか、怖い夢を見るとかはよく聞きますね。特に不思議だったのは、僕の家に別々に訪れた3人が、同じ臭いを訴えたときかな。

――同じ臭いを訴えたとは、どういうことでしょうか。

田中 チベットの呪物で、亡くなった方の遺灰と土をこねて作る仏像があるんです。その呪物からは、強烈な“臭い”が出て、それがまるで人間が歩き回るように、自由自在に動くと言い伝えられています。ただ、極稀にしか臭いは発生しない、と。

 知り合いの骨董屋さんが趣味でその呪物を持っていて、譲っていただけることになったんですよ。ただ、ちょうど忙しかったこともあって、いただいてからしばらくはダンボールに閉じ込めたまま、放置してしまった。

 そうしたら、ある日、僕の家に来た友人が「変な臭いがする」って言い出したんです。しかも、ある空間の一部分だけを指さして「ここだけがくさい」って。僕はその臭いがわからなかったから、「何を言っとるんやろ」って特に気にしなかったんです。

 

――臭いがわからなければ、そういう反応になりますよね。

田中 でも、その2、3日後に来た別の友人も同じことを言うんです。そして、また別の日に来た友人も。みんな同じように、「空間の一部分だけが強烈にくさい。死臭みたいな臭いがする」「くさい箇所が移動している」って言うんですよ。

 そこでやっと「もしかしてあの呪物が臭いを出しているんじゃ……」と気づいて、ダンボールから取り出して部屋に飾ったんです。それ以降、臭い騒動はパタリと収まりました。ちなみに、「くさい」と言っていた友人たちに、チベットの呪物を譲ってもらった話は一切していません。