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 ロシアや中国のトップは来日しなかった。こうして弔問外交という理由も説得力がなくなっていった。

 さて整理したいことがある。国葬について考えると安倍氏の顔が浮かぶが、これは岸田首相を考える案件だ。

岸田政権の分岐点だった?

 岸田氏は首相就任後、政策や決定を出して世論に不評だと、あとから“軌道修正”するというスタイルをとっていた。発足から4か月となる岸田政権について、読売新聞オンラインは『政策の軌道修正繰り返す岸田政権…支える官邸の重厚布陣』と書いている(2022年1月28日)。

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 岸田政権は政策の軌道修正が目立ち、朝令暮改、場当たり的といった批判がつきまとうが、ミスや弱点が見つかったらすぐに改めようとする姿勢を評価する声の方が多いと。上記の記事では具体例として「18歳以下への10万円相当の給付」について書かれている。

 そんな岸田首相が独断で大きな決断をした。それが「国葬」だった。しかしどの世論調査でも徐々に反対の声が大きくなったが、岸田首相は得意の軌道修正はしなかった。閣議決定もしたので引っ込みがつかなくなったのだろう。押し切るしかなかった。

©JMPA

 ところがどうだろう、押し切ったら「いけてしまった」のである。これは分岐点ではなかったか。その後の政策、たとえばマイナ問題などを見ても軌道修正せずに押し切ろうとする姿勢が目立ち始めた。国葬で味をしめたと言えないか。

「検証をしっかり行う」と明言したが…

 岸田首相は国葬について「検証をしっかり行う」と明言した。その結果はどうだったか。先日政府は国葬の記録集を作成したが内容には批判が多い。

 山陽新聞は『国葬の記録集 批判をなぜ後世に伝えぬ』(9月17日)とし、《納得しかねるのは、国葬の是非が世論を二分したにもかかわらず、課題を検証した有識者ヒアリングの内容が盛り込まれなかったことだ。》と指摘している。

『安倍氏国葬記録 岸田首相の約束は反故に』(信濃毎日新聞9月12日)という社説も。