2008年、“つまらない毎日”と決別するため罪なき人々の命を奪った金川真大。彼が死に際に残した「最期の言葉」とは――。

 戦争責任者、テロリスト、大量殺人鬼など、大罪を犯し死刑判決を下された古今東西238人が死を前に残した台詞、辞世の句、遺書などから印象的な文言を集めた1冊『死刑囚238人 最期の言葉』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

2013年に死刑が執行された金川真大 ©文藝春秋

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「完全勝利」の死刑囚

【土浦連続殺傷事件 金川真大】

「完全勝利」といったところでしょうか。

死刑確定:2010年1月5日

執行:2013年2月21日(享年29)

処刑地:東京拘置所

 高校卒業後、進学も就職もせず引きこもり生活を6年送っていた金川が“つまらない毎日”と決別するため犯行を思い立ったのは2008年1月のこと。

 当初は自殺を考えるも、「さほど苦しまず確実に死ねる死刑」に処されるため大量殺人を計画、2ヶ月かけ包丁やサバイバルナイフを準備し、同年3月19日、茨城県土浦市の住宅街で当時72歳の男性を刺殺した。

 東京で3日間を過ごした後の23日、今度はJR常磐線の荒川沖駅に現れ、手当たり次第に通行人をナイフで襲撃、27歳の男性を殺害したほか7人に重傷を負わせた。

©文藝春秋

 金川が「完全勝利」を口にするのは、2009年12月18日、水戸地方裁判所で死刑判決が言い渡された直後、新聞記者との接見取材でのこと。金川は控訴を取り下げる意向を示したうえで「後は執行までの時間をいかに短くするか。(国が執行に)動かなければ裁判に訴える」などと話し、その3年2ヶ月後、望みどおり死刑に処された。