2023年1月、食べ物を喉につまらせて死亡した死刑囚の上田美由紀。男性2人への強盗殺人罪などで死刑が確定していた彼女が、取材した記者に残した「最期の言葉」とは……?

 戦争責任者、テロリスト、大量殺人鬼など、大罪を犯し死刑判決を下された古今東西238人が死を前に残した台詞、辞世の句、遺書などから印象的な文言を集めた1冊『死刑囚238人 最期の言葉』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)

2023年に亡くなった上田美由紀の自宅 ©文藝春秋

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「ラーメンばっかり食べちゃいけんよ」

【鳥取連続不審死事件 上田美由紀】

「夜遅いからってラーメンばっかり食べちゃいけんよ」

死刑確定:2017年8月23日

執行:2023年1月14日(病死。享年49)

処刑地:広島拘置所

 2004年から2009年、鳥取県内で6件の連続不審死事件が発生。このうち2件の強盗殺人を働いたとして逮捕されたのが元スナックホステスの上田美由紀(当時35歳)である。

 公判で上田は一貫して無罪を主張したが、判決は死刑。上の文言は最高裁での確定判決直後の2017年8月25日、松江刑務所にインタビュー取材に訪れた記者に対し彼女が放った最期の言葉である。

©文藝春秋

 帰宅がいつも遅いため、家の近くのラーメン屋で食事を済ませることが多いという記者を気遣ってのことだった。その後、上田は広島拘置所へ移管され、執行のときを待つが、高血圧や狭心症など複数の病気で投薬治療を受け、2023年1月10日には食事を喉に詰まらせて救急搬送される。

 そして4日後の14日16時過ぎ、拘置所の自室でまたも食べ物を喉に詰まらせ、窒息死。“最期の晩餐”となった夕食は、白米、やきそば、玉子焼き、ハムとポテトサラダのフライ、スパゲッティサラダ、つみれの6品目だった。