Q なぜポーランドはウクライナへの「支援」を停止したのですか?

 ウクライナのゼレンスキー大統領が国連総会での演説で、ポーランドなどが自国産農作物を保護する観点からウクライナ産穀物の輸入を禁止している現状を踏まえ「欧州の友人」が「モスクワを手助けしている」と批判した、と報じられていました。さらにその翌日20日には、ポーランドのモラウィエツキ首相が、ウクライナへの武器供与の停止に言及したとのこと。「あれ? ポーランドはウクライナを支援していたんじゃなかったっけ?」と混乱しています。なぜ支援を停止したのでしょうか? そもそもこの3国の関係性って、どういうものだったのでしょうか?(30代・女性・主婦)

ウクライナのゼレンスキー大統領  ©AFLO

A「ポーランドに対する感謝の念を持っていないのか」という怒りなのです

 ポーランドは東西冷戦時代、ソ連の圧力でソ連ベッタリの政治経済体制が続いていました。ソ連が崩壊して、やっと安心して独自の道を歩めるようになり、NATO(北大西洋条約機構)にも加盟できました。その立場からすると、ウクライナが置かれている状況は他人事ではないのです。ロシアの侵略をウクライナで止めることが、結局は自国の安全につながるという思いがあり、ウクライナを支援してきました。

ロシアのプーチン大統領 ©︎時事通信社

 しかし、その一方で、ウクライナ産の安価な穀物が黒海から出荷できなくなった結果、ポーランドに流入。ポーランドの農家に打撃を与える恐れが出てきたため、輸入を禁止していました。

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 ところが、ウクライナのゼレンスキー大統領が、ポーランドの苦境に配慮しないまま暗にポーランドを批判したので、ポーランドの首相がキレたのです。「ポーランドは財政が豊かではないのにウクライナを支援している。そのポーランドに対する感謝の念を持っていないのか」という怒りなのです。

 とはいえ、武器の支援をやめてウクライナがロシアに敗北してしまっては、ポーランドとしても困りますから、ウクライナの謝罪ないしは感謝を条件に、支援を再開していくことになるでしょう。ロシアの脅威の前では、2国とも“運命共同体”なのです。