しかし、そうした長時間労働が続いた先に待っていたのは、心と体を壊しての「戦線離脱」でした。限られた時間の中で成果を出し続ける働き方をしないと、長く働くことはできないと実感しました。
ですから、労働時間になんら制約なく、思う存分働きたいという若手社員には賛同できません。一度でも身体を壊すと復帰が難しいのです。
そこで、相談に来る若手社員には「限られた時間の中で成果を残すという条件のゲームに変わったのだ」と伝えるようにしています。
58%が残業削減を目的とした働き方改革には反対
クロスリバーでは、2021年4月に「残業意識調査」を実施しました。7万9000人のビジネスパーソンを対象に、「残業削減を目指した働き方改革に賛成ですか」と聞き、匿名で「Yes」「No」を答えてもらいました。
すると、驚くべきことに「残業削減を目指した働き方改革に反対」という人が58%もいたのです。
これは必ずしも「残業したい」ということではなく、そもそも仕事が終わらないとか、目の前の仕事を片付けることに終始してしまい、スキルアップの時間を取れないとか、学ぶ時間がない、という人が大勢いました。
20代の若手社員だけ取り出すと、「むしろ残業をしたい」という人は41%もいたのです。
最初はてっきり残業代を期待しているのかと思いました。しかし調査をさらに掘り下げる形で、追加調査を行ったところ、そうではなく、「一人前の社会人になるために、20代の間にしっかり学びたい」と希望している人が多いことがわかりました。
企業が気づいていないこと
残業したい理由を自由記入で回答してもらったところ、第3位は「そもそも仕事が終わらないから」という想定通りの回答となりました。第2位は「残業代が欲しいから」と正直に答えてくれました。
予想外に1位であったのは「スキルを磨きたいから」だったのです。
1人前のビジネスパーソンになるために、仕事を通じて経験を積み重ねたり、研修を受けてビジネススキルを高めたりしたい、というのです。