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「モブに入らないで」新人の中で自分だけ参加させてもらえず…「声が悪目立ちする」と使われなかった声優を一転させた“ひと言”

「モブに入らないで」新人の中で自分だけ参加させてもらえず…「声が悪目立ちする」と使われなかった声優を一転させた“ひと言”

「週刊文春エンタ+」後藤邑子さんインタビュー

2023/10/15

source : ノンフィクション出版

genre : エンタメ, 芸能

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 人気アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』(朝比奈みくる役)や『コードギアス 反逆のルルーシュ R2』(アーニャ・アールストレイム役)などで知られる声優の後藤邑子さん。世界最大のアニメソングのイベント「アニメロサマーライブ」にも登場するなど、歌手やラジオパーソナリティなど幅広く活躍する彼女だが、2012年には持病の悪化で緊急入院と無期限の活動休止を余儀なくされた。じつは、10代の頃から国の指定難病を持病に抱えていたのである。

 現在は海外イベントやステージをこなすまでに寛解した彼女。その知られざる闘病と、役者としての想いを語った「週刊文春エンタ+」のインタビューより、一部を抜粋して掲載する。

後藤邑子さん ©文藝春秋/鈴木七絵

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「きっと他の人より短めな人生なんだ」という意識がずっと頭にありました

――後藤さんは過去に2度、余命宣告を受けたとうかがいました。

 最初は中学3年生の時です。ある朝、鼻血が止まらなくなって病院へ行ったら、特発性血小板減少性紫斑病と診断され、そのまま入院することになりました。

 豪華な個室をあてがわれ、家族が病室に晩ごはんを毎日持ってきて、一家そろって食事していました。両親は「夏休みいっぱいまでだろう」「できるだけ長く一緒にいてあげてください」と告げられていたそうです。

――転機となったのは?

 行きつけの寿司屋のカウンターで泣いて帰った父を、偶然見かけたおじいちゃんのお客さんが、血液学の教授だったことです。私はおじいちゃん先生の大学病院に転院し、治療方針を見直したことで、秋に退院が叶いました。

 ただ、この病気は一生付き合っていく必要があります。先生のおかげで日常に戻ることができても、「きっと他の人よりは短めな人生なんだろうな」という意識はずっと私の頭に貼りついていて、「何かやりたいことをやらなきゃ、早く、元気なうちに」という焦りがありました。

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