ボッテガ・ヴェネタのボストンバッグ
ドン・ファンが東京に出張するときには、六本木にあるリッツ・カールトンを定宿にしていました。VIPしか入れないエグゼクティブ・ルームを使えるのが、リッツ・カールトンのヘビーユーザーの大きなメリットです。そこに女の子を大勢集め、シャンパンをポンポン開けてドンチャン騒ぎをするのがならわしでした。気に入ったコがいれば、その場でパパ活契約を結んで部屋にお持ち帰りしてしまうのです。
東京に出張するとき、ドン・ファンはいつもボッテガ・ヴェネタのボストンバッグを持っていきました。本革の編み込みデザインで、いかにもお金持ちが好みそうな、真っ黒なバッグです。
1000万円まで入っていたかどうかは分かりませんが、そのバッグには数百万円は確実に入っていました。そこから現金を取り出して、女の子にポンポンポンポン気前良くお金をあげるのです。意中の女性を口説くときには、とりあえず20~30万円をポーンとあげちゃいますし、パーティに来てくれた女性が帰るときには、ちゃんと一人ずつお車代を現金で渡していました。
ドン・ファンは昔から現金派です。ティッシュ配りのアルバイトをやってくれる学生の女の子がいると、「一緒にご飯を食べに行きましょう」と誘って連れ出す。時給800円か900円のアルバイトをやっている学生に「お小遣いあげるから、今日これから付き合ってくれませんか」と誘えば、ある一定の歩留まりでセックスにたどり着くことができます。
お金で埋めたジェネレーション・ギャップ
ドン・ファンが女の子を口説くときは、まったく饒舌ではありません。病的なほどに積極的ではあるのですが、おそろしく口下手なのです。だから口説きたい女の子がいるときは、実体として誰の目にも見える、現ナマが必要でした。あるいは、「洋服を買ってあげましょう」「新しい靴を買いに行きませんか」とモノで釣るのです。
ドン・ファンは背が低く、ハンサムでもありません。高齢のおじいちゃんです。でもお金の魔力は、おじいちゃんと女子学生のジェネレーション・ギャップを、いとも簡単に埋めます。
田舎から東京に出てきている女子大生の多くは、お金がありません。親元から離れて都会で一人暮らしするのは大変ですし、洋服代なんてなかなか捻出できないものです。ボストンバッグからポンポンとお金を出す大人がいれば、一度くらい、お股を開いたってかまわない。経済的に苦しい生活を送る女性の心理を逆手に取って、ドン・ファンは次々と女の子をハンティングしていきました。