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「発達障害=天才」は誉め言葉ではない…大阪大卒の30代女性が味わってきた"普通じゃないこと"の苦しさ

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genre : ライフ, 教育, 働き方

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他にもベテランの女性からは「あなたは勉強はできるけど社会ではやっていけないね」「今までどういう教育を受けてきたの?」といった人格否定的なことを言われた。阪大卒を背負っているぶん、ミスをしたときの相手の落胆は大きい。こうしたプレッシャーに加えて給与も少ないといった理由から、村上さんは3年間働いたのちにこの会社を退職する。

心療内科を受診し、ADHDの診断が下る

2社目は専門学校の事務職についた。そこでは学生や保護者への対応や、オープンキャンパスの準備など、やらないといけない仕事が大量にあった。特に保護者からのクレーム対応には臨機応変な対応が取れず、つい電話を切ってしまうこともあった。

オープンキャンパスも頻繁に行なわれたが、参加人数が少なかったりすると当初予定していたスケジュールとは違う対応を取らねばならなかった。自分の中で整理していた段取りが変わってしまうとパニックになり、心療内科を受診することにした。そして医師より「発達障害かもしれない」と告げられ検査を受けると不注意優勢のADHDの診断が下された。

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この2つめの職場でも、遠回しな表現が分からずコミュニケーションの齟齬(そご)が起きたことがあった。

「職場の人たちは基本的にみんないい人ばかりで私を責める人はいませんでした。そしてお昼休みは交代制で、私はいつも早い時間にお昼に行かせてもらっていました。ところがある日、上司が「僕、今日13時から会議だわ」と言ってきて、私はそれをただの報告だと思って、いつもと同じ時間に昼休みを取りました。でも後から別の人に聞いたら、「あれ、村上さんが先にお昼に行くのではなくて、〈会議があるから僕に譲ってほしい〉という意味だよ」と言われまして……。そうか、普通の人にとってあの言い回しはそういう意味になるのかと」

同級生と自分の生活を比べてしまう

ふたたび転職した村上さんは現在、冒頭に述べた通信会社で障害者雇用にて経理担当として働いている。

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