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日本の順位は139カ国中132位…愛社精神を持つ日本人が少なすぎる“納得の理由”とは

『人事変革ストーリー 個と組織「共進化」の時代』より #1

2023/10/19
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 その一方で、日本のビジネスパーソンの中には、会社から与えられた仕事の中身には満足していない人も多くいます。日本人でも執行役員クラスになると、仕事に対するエンゲージメントのスコアが高く出るようになりますが、ミドル層以下は「定期異動によって仕事がコロコロ変わる」とか、「やりたい仕事をやらせてもらえない」といった不満を大なり小なり抱えています。そんな中、仕事に対するエンゲージメントも組織に対するエンゲージメントも失ってしまった若者が3年で会社を辞めていく。これが、日本企業でしばしば見られる現象ではないかと思います。

©AFLO

欧米では自分の市場価値を高めるために転職をする

 では、欧米ではどうなのか。私が見るに、欧米人の場合は、組織で働く立場で考えるエンゲージメントと仕事をする個人として考えるエンゲージメントがシンクロする傾向があります。なぜなら彼ら彼女らは自身のプロフェッショナリティを活かせる仕事があるかどうかを考えて「就職」先を探し、いくつかの候補の中から、自分が最も貢献できそうな企業を選びます。

 だから、仕事に対しても組織に対してもエンゲージメントが自ずと高くなりますし、実際に働いてみて「この会社では自分のプロフェッショナリティを活かせない」と気づいた人は、自分の市場価値をさらに高めるために転職していきます。つまり、極端な言い方をすれば、もともとエンゲージメントの高い人しか組織に残らないとも言えますし、また、各自はプロとして、毎日、エンゲージメントを自ら高めて働く必要を感じているのだと私は考えます。

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 もっとも、欧米企業が社員のエンゲージメントに関して何も手を打っていないのかというと、そういうことはありません。先般訪問したにアメリカ西海岸の企業では、社員が飼っているペットにも社員証を与えて、社員がオフィスに連れてくることを認めたり、コーヒーがとびきりおいしい店からバリスタを招いて、社内にカフェを開設したりして、社員それぞれが自身のエンゲージメントの向上を感じられる時間や空間を用意していました。

人事変革ストーリー (光文社新書)

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日本の順位は139カ国中132位…愛社精神を持つ日本人が少なすぎる“納得の理由”とは

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