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 ところが、憂慮すべきことに、日本人のビジネスパーソンは総じてエンゲージメントが低いという結果になる傾向があります。世界各国の従業員エンゲージメントを国際比較したアメリカのギャラップ社の調査(2017年)でも、日本は「エンゲージしている(Engaged)社員」の割合が6%で、これは139カ国中132位という結果でした。「エンゲージしていない(Not engaged)社員」は71%、「積極的にディスエンゲージしている(Actively Disengaged)社員」は23%を占めていました。

従業員エンゲージメントの国際比較(出所/State of the Global Workplace2017:GALLUP)

組織と仕事に対するエンゲージメントの乖離が一因か

 実は似たような傾向はかつての外資系企業でも見られていて、日本法人で働く日本人社員のエンゲージメントスコアは、他の国や地域の法人で働く社員たちと比べて低く出ていました。

 一体なぜなのか。よく持ち出されるのは、「日本人は真面目で控えめな国民性だから、調査の自己採点で高い点数をつけたがらない」といった理由です。しかし、本当にそうなのでしょうか。

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 エンゲージメントには大きく分けて、「組織で働く立場」で考えるエンゲージメントと「仕事をする個人」として考えるエンゲージメントがあります。本来はその両方のスコアが高いのが理想的なのですが、日本人の場合、組織に対するエンゲージメントのスコアはわりあい高く出る一方、仕事に対するエンゲージメントのスコアは低く出がちです。この乖離が全体のスコアを押し下げている一因だというのが私の見方です。

会社から与えられた仕事の中身に満足していない人も

 どうして組織に対するエンゲージメントと仕事に対するエンゲージメントに差が生じているのかというと、おそらくそれには、日本人と企業の関係性が影響しているのでしょう。日本人は企業で働き始めることを「就職する」と言いますが、その実態は「就社」です。大半のビジネスパーソンは新卒で入った会社で職業人生を全うしますし、だから組織に対する愛着心は比較的強いのです。