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術後1ヶ月ほどしてから放射線治療を開始

――そして検査の結果は、乳がんだった。

上島 はい。よく話に聞いていたような「ショックで膝から崩れ落ちる」とか「頭の中が真っ白になる」なんてことはなかったです。でも、竜ちゃんが亡くなって数ヶ月しか経っていなかったから、「あんなに辛いことがあったばかりなのに、なんでまた私なの?」とは思いましたね。

 ただ、病状は不幸中の幸いで、ステージでいうと「1」。手術はしこりの部分とその周辺を取るのみですみました。また、過去に私がポリープ除去手術で入院したとき、「ヒーチャンがガンになっちゃった」と、竜ちゃんが泣き崩れてしまったことがあるんです。そのときは結局ガンじゃなかったけど、今回はガンだった。もし竜ちゃんがこの結果を知ったら、あのとき以上にショックを受けていたはず。そう考えたら、空の上にいる竜ちゃんが少しでも安心できるように、私がしっかり前を向かなきゃなって。

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©山元茂樹/文藝春秋

――術後の経過はどうですか?

上島 手術後1ヶ月ほどしてから、平日5日・計5週間の放射線治療を開始しました。それが終わったあとは、ホルモン剤を服用しながら2ヶ月に1回定期検診をしています。実は、この取材の前に術後1年の検診をしてきたんですよ。

 今のところ経過は良好で、もう手術痕の“ひきつり”や痛みもありません。でも、体力がすごく落ちちゃって……スポーツクラブに行こうと思って、ウェアや水着は購入したのですが、書籍の執筆で忙しくてなかなか時間が取れず。やっと8月に『竜ちゃんのばかやろう』が発売されて一段落ついたので、そろそろ本格的に運動を始めたいですね。

©山元茂樹/文藝春秋

 今後は公演やイベント、執筆活動などを通じて、自分の体験……例えば、乳がんの闘病や、パートナーを失った方に向けた発信に力を入れていきたいです。今も、InstagramのDM(ダイレクトメッセージ)で、悩んでいる方からの長文のメッセージが届くんです。

自分の体験が誰かの役に立つと、私自身も救われる

――どのようなメッセージか、伺ってもいいですか。

上島 「光さんと同じように家族を亡くしました」とか、「自分自身が病んでしまって、病院に通っている」とか。ありがたいことに、たくさんの長文メッセージをいただくから、全てには返信できていません。ただ、ときどき「いますぐ返信をしないとまずい」と思う方もいて……。